寝るときに着るだけで疲れが解消
海外でも人気のリカバリーウェア
身に着けるだけで疲労回復を促進してくれるという不思議なウェアがいま売れている。2009年に発売して以来、累計60万着を販売し、開発したベネクスの2017年度の売上げは対前年比で30%増の9億円に達した。
このウェアを開発し、ベネクスを創業した社長の中村太一(37歳)は、疲労を回復するという意味で「リカバリーウェア」と名付けた。
発売当初は、ハードなトレーニングで身体休養に神経を使うスポーツ選手など、アスリートの間で評判になり、口コミで広がったが、その後「寝るときに着るだけで寝付きがよくなった」「安眠できるようになった」「寝覚めが気持ちいい」など、その効果が認められて一般の消費者も買うようになった。
ユーザは男女半々で、40~50代がメインだ。疲れがなかなか取れないと感じる世代が多い。
2015年からはドイツを中心に販売を開始、現地生産も始まっている。2017年11月末にはドイツのマンハイム中心部の新しい商業施設内に欧州1号店となる直営店を開業、20種以上の商品を生産、販売する。
店内ではフィジオセラピスト(理学療法士)による施術サービスも提供し、リカバリーウェアだけでなく、疲労回復サービスの定着を図る狙いだ。店舗を含むドイツでの年間売上げは約5000万円を目指す。
ドイツ水泳協会とのオフィシャルパートナー契約も結んでおり、国際大会に出場するドイツ代表選手に提供している。同協会のオフィシャルパートナーで日本メーカーはベネクスのみというのだから、その信頼の厚さがわかるだろう。契約期間は2020年末までなので、東京オリンピックでも水泳のドイツ代表選手団がリカバリーウェアを身に着けている姿を見ることができるはずだ。
またアジアにも進出しており、2016年4月には韓国で直営店を開店(現在は閉店)、同年12月には台湾のそごう百貨店内に直営店を出した。実は、『疲れとり首ウォーマー』という商品を付録にした書籍を発行し、シリーズ累計で150万部を突破するベストセラーになっているが、この台湾語版を2016年1月に発行し、初版1万部で順調に売れている。大手書店では年間で売れ行き9位にランクインしたほどだ。