取締役会への女性登用が遅れていることが議論の的になっている。だが先行企業の事例は、他の企業に、さらに確固たる行動を取る意欲を与えてくれそうだ。

 取締役会への女性参画に関する論調は最近悲観的だが、米国におけるジェンダーの平等に向けた歩みが遅々としていることを思えば、それもうなずける。

 米国では現在、女性は取締役会の定員の19%を占めている。一方で、フランス、ノルウェー、そしてスウェーデンなどの欧州諸国では、法的または自主的な数値目標が設定され、30%以上を占めている。

 つまり、一部の先進的な企業は率先して、女性の取締役を新たな場所で探し、取締役会に新たな方法で招き入れている。その多くは、まだ先は長いと感じているが、そうした経験は、改革を実現する方法をより深く理解したいと望んでいる企業にとって、有益である。

 マッキンゼー・アンド・カンパニーは、取締役会の多様性におけるトップパフォーマーを特定するため、2016年8月時点で取締役会に占める女性の割合が最大の企業を基準として、S&P500種株価指数の構成企業を分析した(上位25社は図表1を参照)。それによると、上位50社において、女性は取締役会の定数の最低33%(最高比率では60%近く)を占めていた。対象企業全体で見ると、取締役会における女性の参画は、2005年以降で平均24ポイント伸びた。

図表1

 続いて、これら先行企業のいくつか、および同様の進展を見せている一部の欧州企業のCEOと取締役会会長にインタビューを行った(対象企業一部の経営幹部によるインタビュー詳細は、「役員室の内外におけるジェンダーの多様性に関する率直な話し合い/Straight Talk about gender diversity in the boardroom and beyond」、mckinsey.com、2017年1月を参照)。インタビューの目的は、ジェンダーの多様性に向けたそれぞれの道のり、すなわち直面した課題、参考にした成功事例、そして取締役会における女性とマイノリティの参画拡大から持続的に得ているメリットを直接聞くことにあった。

 以下に、概略ではあるが一連の成功事例を挙げる(図表2)。

図表2