なぜか辞めない日本のエンジニア

ちきりん  エンジニアの人だって、これはやばいなという状態はわかりますよね。そしたら潰れる前には引き抜きなんかで辞めていくんですか?

竹内  いや全然、辞めないですね。ふつう、会社が傾いてくると、アメリカではヤバイと思ってクモの子を散らすように逃げていくじゃないですか。優秀なエンジニアだったら誘いもかかってくるし。労働市場の違いかも知れませんが、不思議なほど、みんな辞めないんです。

ちきりん  ベンチャーなど小さな会社へ行くと、お給料が下がるからでしょうか?

竹内  いや、そこではないでしょう。みんなと一緒にいたいという思いが強いのではないでしょうか。でも、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」のは事業が勝っている時の話ですよね。不採算事業なら、「死なばもろとも」になってしまうのに。

 それこそ、ちきりんさんの本じゃないけれど、「自分のアタマで考えていない」証拠ですよ。例えば、新聞やテレビで、「○○社がエルピーダやシャープの支援に名乗り」とか、「韓国の××社も名乗り」とか言われると、もう自分たちが助けてもらえると信じ込んでしまう。勘違いというより、そう信じたいんでしょうね。あれはウソだってことが、わかってもらえない。

 みんなどこの会社も厳しいので、ヨソの会社にまでお金を出して助けようなんて、誰も思いません。おいしい事業だけ少しのお金でかっさらってサヨナラ、というのが当たり前の世界なんだけど、その想像力がなぜか働かない。

ちきりん  先ほどのお話では、エンジニアは不思議なほど会社を辞めないということでしたが、20代のエンジニアと40代、50代のエンジニアでは意識の違いはありますか?

竹内  若い人のほうが先に辞めますね。それに、コア事業に携わっていた人たちはサバイバルにも長けているので、ヤバそうとなると先に消えてしまう。

ちきりん  どういう人が最初に、沈み掛けているタイタニックから出ていくんですか? 技術に自信のある人ですか?

竹内  トップ1%の優秀な人ですね。エンジニアとして優秀だけではなくて、たとえば海外留学をした経験のある人とか、外の世界、他の会社のことを知っている人ですね。

ちきりん  アメリカに留学したとか、世界で仕事をした経験があるとかの「技術力にプラスαの部分」が大きいということですね。やっぱり技術者にも、技術以外、たとえばビジネスに関する視野や経験も重要ということですよね。