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次世代に引き継ぐ大震災の教訓

これで安心・安全な食卓は実現する?
放射能汚染食品「新基準値」の読み方

坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]
【第24回】 2012年4月24日
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 宮城県南部産のヤーコンという植物を茶にした製品から、1キログラム当たり1万4970から2万0290ベクレルのセシウムが検出された。宮城県が公表したのは4月14日である(4月15日付各紙)。茶葉は乾燥して圧縮されているはずで、相当濃度が高くなっていたわけだが、予想外の高レベルだ。発見されてよかったが、まだ汚染食品は潜んでいるかもしれない。政府・自治体の検査体制の充実を望みたい。

 セシウム137の半減期は30年だから、事故から1年経過したからといって急速に放射性物質が減少しているわけではない。あらためて確認しておきたい。

「暫定規制値」と「新規制値」の違いとは

 4月1日から「食品中の放射性物質」の新規制値(基準値)が決定され、ぐっと厳しくなった。関東各地でシイタケやタケノコなどから新規制値以上のセシウムが検出され、出荷停止が続いている。しかし、何がどれほど厳しくなったのか、わかったようでいてよくわからない。

 福島原発事故によって放出された放射性物質が風に乗り、昨年、静岡県のお茶まで汚染されたことは記憶に新しい。関東平野の野菜、東北・関東の牛肉汚染、12月には粉ミルクからもセシウムが検出されている。

 まだまだ放射能汚染は続く。事故の収束はできていない。現在も放射性物質は大気や海へ出ている。流出の程度が下がってきたとはいえ、本質的な事態はあまり変わっていない。

 1年前の2011年4月5日、厚生労働省は食品中の「暫定規制値」を次のように決め、魚類をここで対象とした。これが今年(2012年)3月末までの規制値である。あらためて見ておこう。


食品衛生法の規定(昭和22年法律第233号)に基づく食品中の放射性物質に関する暫定規制値(ベクレル/kg)

放射性ヨウ素(混合核種の代表核種 ヨウ素131)      
飲料水    300       
牛乳・乳製品  300(乳児は100) 
野菜類(根菜・芋類を除く)   2000       
魚介類   2000       

放射性セシウム     飲料水    200       
牛乳・乳製品    200       
野菜類    500       
穀類    500       
肉・卵・魚・その他    500       

ウラン      乳幼児用食品     20       
飲料水     20       
牛乳・乳製品     20       
野菜類    100       
穀類    100       
肉・卵・魚・その他    100       

プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種(★注)    
           乳幼児用食品      1       
           飲料水      1       
           牛乳・乳製品      1       
           野菜類     10       
           穀類     10       
肉・卵・魚・その他     10       

★注・アルファ核種とは、アルファ線を出して崩壊する物質のこと。ここではプルトニウム238、プルトニウム239、プルトニウム240、プルトニウム242、アメリシウム241、キュリウム242、キュリウム243、キュリウム244の放射能濃度の合計。


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坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]

1954年生まれ。78年早稲田大学政治経済学部卒業後、ダイヤモンド社入社。「週刊ダイヤモンド」編集長などを経て現職。著書に『複雑系の選択』『めちゃくちゃわかるよ!経済学』(ダイヤモンド社)『浦安図書館を支える人びと』(日本図書館協会)など。


次世代に引き継ぐ大震災の教訓

東日本大震災から1年。首都直下型地震をはじめ次なる巨大地震の可能性も示唆され、国民に不安が広がるなか、我々現役世代は何を為すべきか。それは東日本大震災から得た教訓を、次世代へと確実に引き継ぎ、活かすことではないだろうか。そしてその役割はこの1年間、着実に果たされてきたと言えるのか。各分野の専門家へのインタビューと現地取材を交えたレポートで検証する。

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