EA(エレクトロニック・アーツ)はビデオゲームのメーカーとして有名だが、同社は先だって2012年度WCIA大賞を受賞した。賞を授与したのは、コンシューマリストというサイト。同サイトのユーザー25万人が投票した結果だ。

 実はWCIAは、Worst Company in Americaの略。つまり、この賞は「アメリカ最悪の企業」に与えられるものなのである。コンシューマリストは、EAがWCIA大賞を受賞した理由を、ユーザーにあれこれの課金をして、財布を空っぽにさせる「強欲さ」としている。ビデオゲームという楽しいはずの場が、まるで金融機関のような同社の強欲さで台無しになっている、というのだ。

 EAは、ウォルマートやフェイスブック、AT&Tと競り合ってWCIA大賞をものにした。コンシューマリストからは、「金色のウンチ」型のトロフィーを受け取ることになっている。

 さて、そんな賞を授与するこのコンシューマリストというサイトは何者か?

「消費者の逆襲」を謳うコンシューマリストは、消費者の利益を第一義にするブログサイトである。消費者の不満や苦情を拾い上げ、消費者が知っておくべき情報を提供する。一般消費者も、ごく日常の生活で受けている不条理な扱いをここに投稿する。言ってみれば、企業へのご意見番のような存在だろうか。重要なのは、コンシューマリストへの注目度がめっぽう高いことだ。

 たとえば、EAのWCIA大賞受賞のニュースは、メジャーなニュースメディアでも取り上げられた。ゲーマーたちが、内輪で不満に思っていたことやEAに無視されてきた苦情が陽の目を浴びたのだ。

 このケースでは、最初EAが反撃に出て、「BPやAIG、フィリップモリス、ハリバートン社などは、今年ノミネートされずに済んで、さぞかし胸をなでおろしていることだろうよ。EAには世界に3億人のユーザーがいる。これからも彼らのために、素晴らしいゲームを生み続ける」とコメントした。

 過去に授賞した企業を羅列し、反省の色を見せないEAに対して、ユーザーらはさらに応酬。「アホかいな」、「だから、君はワースト企業なんだよ」などと投稿し、インターネット界をにぎわせた。その後しばらくしてEAは、無料でダウンロードできるゲームコンテンツを提供。どうやらユーザーの不満を和らげなければマズいと感じたようだった。WCIA大賞の効果あり、といったところだ。