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デジタル大変革時代 部品メーカーの生きる道

ありえないような未来像にこそ
明日の危機とチャンスが潜んでいる

PwCコンサルティング
【第4回】 2018年8月31日
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本連載では、部品メーカーがデジタル大変革時代を生き抜くために必要な未来創造の取り組みについて解説している。今回は、未来創造において必要性が高いタスクの1つである「未来シーンの発案」を取り上げる。

新井本昌宏(にいもと・まさひろ)
PwCコンサルティング合同会社
シニアマネージャー

メーカーにて生産技術、研究開発に従事。その後、複数のコンサルティングファームを経て、2014年10月から現職。現在までに、機械、電機、部品、食品、医薬品等の製造業並びに建設業における新規事業開発、技術戦略策定、研究、開発、設計、生産技術、品質保証、プロダクトデザイン領域の業務改革等のコンサルティングを数多く経験。経営から現場までの一貫性と、事業と技術の整合性を重視し、短期的な成果の獲得と、中長期的に成果を獲得し続ける組織能力向上を同時に支援する。

未来シーンの発案とは

 未来シーンの発案とは、未来の世界がどうなっているか、あるいは未来をどのような世界にしたいか、といったアイデアを生み出すことである。目的は、未来の世界で自社が提供できる価値を見極めることや、未来を創るために貢献できることを見極めることの拠り所とすることである。どのような未来であるかは典型的なシーンを描くことで示す。具体的には、文章、絵、動画、VRなどを組み合わせて表現する。以前は未来の世界はどうなっているかを予測することが主流であったが、現在は未来をどのような世界にしたいかを創ることが主流である。未来は他人事として予測してもなかなか当たるものではないが、主体的に創る努力をすれば実現できるためである。

未来シーン発案タスクの企画

 一口に未来と言っても、それが何年後のことなのか、またどの場所なのかによって変わってくるため、未来シーンの発案は企画を立案した上で行う。この企画はベーシックかつシンプルなものでよい。すなわち、目的(何のために未来シーンを考えるのか)、対象(何に関するシーンを考えるのか)、時期(いつ頃の未来を考えるのか)、場所(どこの未来を考えるのか)、発案方法(どのようなメンバーで、どのように議論を進めるのか)といった必要最低限の内容を決めておく。例を挙げて説明する。

【目的】
都市化の進展というマクロトレンドに基づき、新形態の都市において自社が新たに提供できる価値を考える

【対象】
大都市に住む人、大都市で働く人の生活

【時期】
2044年(通常、新形態の都市が企画されてから実現するまでの期間が約25年であるため)

【場所】
全世界の大都市

【発案方法】
・部門横断のメンバーで毎週金曜に夕食を取りながらディスカッション
・ファシリテーター、ビジュアル化担当を置く
・時間は2時間確保しておくが、盛り上がりに応じて伸縮する
・4回開催予定
・初回は、未来創造活動全体の説明と未来シーン発案のための情報インプットを行ってからディスカッションを開始する
・第3回は、スマートシティの先進モデルとされるA市で開催→まず見学を行い、その後のディスカッションには、プロジェクトに携わったデベロッパーの社員もゲストに招く予定

 このような簡素な内容で十分だ。議論を進める中で企画内容が変わることもしばしばあるため、詳細な企画書を作成して計画どおりに進めるよりも、簡素な企画書を更新し、都度メンバーの意識を合わせながら進めるというイメージである。

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日本のモノづくりを支えてきた部品メーカーが、デジタル大変革時代に岐路に立たされている。これまでの製品メーカーからの発注を待つ受け身の姿勢を変え、自ら未来を想像する発想の転換と実行態勢の構築が求められるが、具体的な方法論が見いだせない。この状況を打破するためのヒントを提供する。

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