民主党政権は、郵政民営化見直し法案を今国会で成立させようとしており、改革逆行の姿勢を明確にしていますが、それに勝るとも劣らない改革逆行が密かに進みつつあることが発覚しました。それは、道路公団民営化の意義を台無しにする“道路公団改悪”です。

道路公団民営化の意義

 最初に、道路公団民営化について復習しておきましょう。道路関係四公団(道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団)は小泉時代に分割民営化され、

・四公団が保有する既存の高速道路と債務は日本高速道路保有・債務返済機構(独法)に集約
・既存高速道の管理運営と新規建設については、以下の民間企業(特殊会社)に再編・集約
  -道路公団→東日本/中日本/西日本高速道路株式会社の3社
  -首都高速道路公団→首都高速道路株式会社
  -阪神高速道路公団→阪神高速道路株式会社
  -本州四国連絡橋公団→本州四国連絡高速道路株式会社

 となりました。

 その意義は、特殊法人時代の四公団が特別会計の存在と相俟って談合、天下り、ファミリー企業といった利権の温床となっていたことから、不透明な利権を廃し、放漫経営を改めることにありました。

 そのように考えると、分割民営化という組織形態の変更も大事ですが、利権の根絶と道路予算の効率化のためには、ある意味でそれ以上に民営化された企業の経営陣をどのような人が務めるかが重要になります。

 ちなみに、道路各社の経営陣は2年が任期となっており、ちょうど2年前に今の経営陣を選ぶときは、当時の国交大臣であった民主党の前原氏が民間的な経営を行う人をトップに充てました。

 その結果、高速道路にいわゆる“利権屋”が入り込む余地はこの2年でどんどん小さくなりました。“言うだけ番長”と揶揄されることが多い前原氏ですが、この問題についてだけは正しい対応を行っていたのです。