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英語の決算書を読むスキル
【第2回】 2012年5月1日
著者・コラム紹介バックナンバー
大津広一 [米国公認会計士]

「新日鉄住金の誕生」を知るために
「POSCO」の決算書を読んでみる

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この連載では、会計を英語で覚えるコツとプロの読み方を全5回にわたって紹介します。第2回は、世界的に再編が進む鉄鋼メーカーを取り上げます。国内鉄鋼大手の新日本製鉄と住友金属工業が今年10月に統合する見通しですが、その背景を探るために、国内大手3社と韓国POSCOの貸借対照表(BS)を比較します。

 2011年8月19日の日本経済新聞には、「国内鉄鋼大手3社の11年度、収益力で海外勢に見劣り」という見出しの下、次のような記事が掲載されました。

 「新日本製鉄やJFEホールディングスなど日本の鉄鋼大手が収益力で海外のライバルに差をつけられている。2011年度の純利益は、国内大手3社を合算しても韓国のポスコやアルセロール・ミタル(ルクセンブルク)を下回る見通し。円高で、出荷の半分近くを占める輸出鋼材の競争力が低下。顧客の製造業が海外に生産を移管していることも逆風だ」

 先週、国内鉄鋼大手3社の2011年度(3月期)決算発表が行われました。12月決算のPOSCOは、決算発表をいち早く2月に終えています。では実際に国内大手3社の利益は、合算してもPOSCOにとても敵わないだけの差をつけられたのでしょうか。もしそうなら、その理由はどこにあるのでしょう? 今後の見込みは? そうした事実があるからこその「新日鉄住金の誕生」なのでしょうか?

3社の利益を足しても、POSCOの約2分の1

 「POSCOの決算書なんて、手に入るの?」「手に入っても、韓国語じゃ…」と言う方。検索エンジンで「POSCO investor relations」と検索してみてください。韓国語の投資家情報よりは情報量は限られるでしょうが、それでも英語で書かれた決算書を入手することができます。まずは、POSCOと国内大手3社の売上と利益を比較してみます。

 日本の会計基準と、POSCOの採用する国際会計基準(IFRS)では、数値の計上場所が異なるものも若干ありますが、ここでは本業の稼ぎ力ということで、営業利益を比較してみましょう。

 POSCOの2011年度(12月期)の連結営業利益は、5兆4,000億ウォンでした。2011年12月末の1韓国ウォンは約0.07円でしたので、これは3,780億円に相当します。これに対して、国内大手3社の営業利益の合計は約2,000億円です。国内3社の利益合計をさらに2倍して、ようやくPOSCOに追いつくというほどの圧倒的な差をつけられています。

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大津広一 [米国公認会計士]

1989年、慶應義塾大学理工学部管理工学科卒業。ロチェスター大学経営学修士(MBA)。富士銀行、バークレイズ・キャピタル証券、ベンチャーキャピタルを経て、2003年に株式会社オオツ・インターナショナルを設立。企業戦略や会計・財務のコンサルティングを行う。また、大手メーカー、金融機関、流通、サービス、外資系企業など年間30社に対して、アカウンティングとコーポレートファイナンスの教育講師を務める。中央大学アカウンティングスクール講師、グロービス・マネジメント・スクール講師を歴任し、現在は早稲田大学大学院商学研究科ビジネススクール講師。早稲田大学では、2006年より毎年40名の留学生に英語で会計を指導している。著書に『企業価値を創造する会計指標入門』『戦略思考で読み解く経営分析入門』『英語の決算書を読むスキル』(以上、ダイヤモンド社)、『ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力』『ビジネススクールで身につけるファイナンスと事業数値化力』(以上、日経ビジネス人文庫)がある。


英語の決算書を読むスキル

会計と英語はグローバル時代の2つの共通言語です。どちらが欠けても外国人とのビジネス・コミュニケーションは成立しません。それならいっそのこと、会計と英語を同時に学びませんか。会計は英語のほうがラクに覚えられるのですから。この連載では、海外有名企業の決算書をもとに、会計を英語で覚えるコツをわかりやすく解説していきます。ZARA(インディテックス)、アリババなど、最新刊『英語の決算書を読むスキル』では紹介していない事例をあえて取り上げているので、同書のサブテキストとしても活用できる内容になっています。

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