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保田隆明 大学院発! 経済・金融ニュースの読み方

体験学習の重要性:実験ファイナンスの授業が面白い

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]
【第36回】 2009年10月13日
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絶対に外れない宝くじの値段は?

 今あなたの目の前に絶対に当たる宝くじがあったとする。50%の確率で300万円、35%の確率で450万円、15%の確率で2,000万円の当選になる時、一体あなたはいくらまでならこの宝くじに支払ってもいいと考えるだろうか。

 この宝くじの当選金額の平均値は簡単に585万円と求められるが(300万円x50%+450万円x35%+2,000万円x15%)、もしこの宝くじをみんなで売買している場合、値段は585万円に落ち着くのだろうか。絶対に損をしたくない人は300万円以上支払ってこの宝くじを買うことはないだろう。一方、炎のギャンブラー的な人は1,000万円でも安いと思うかもしれない。

人のリスク回避度合いは変わる

 この宝くじに300万円の値段しかつけない人を弱気の「ヨワちゃん」と呼ぶことにしてみる。ヨワちゃんは300万円以上は支払わないので宝くじを1枚も買えないかもしれないが、絶対に損をすることはない。何が何でも損失を回避したいのである。しかし、このヨワちゃんに別の売買をさせるとどうだろう?たとえば、300円、450円、2,000円のどれかを出す宝くじだった場合は、どうなるか。先程は絶対に損をしたくなかったヨワちゃんでも、数百円レベルの話であれば多少は損をしてもかまわないと思うかもしれない。結果として、500円までなら支払ってもいいと考えたとしよう。

 ファイナンスの世界ではリスク回避度という概念で、人によって異なるリスク選好を表すが、ヨワちゃんのリスク回避度は、宝くじの当選金額のケタが違うと異なるということになる。これは現実の世界でもよく起こることであろう。

 では、ヨワちゃん以外に、強気のツヨちゃんと普通のフツちゃんが存在して、みんなで宝くじを売買すると一体いくらの値段に落ち着くのだろうか。そんなこともファイナンスの理論で導出することが可能である。

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保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師。リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。その後、起業、投資ファンド運用等を経て、10年より小樽商科大学大学院准教授、14年より昭和女子大学准教授、2015年9月より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。著書は「あわせて学ぶ会計&ファイナンス入門講座」「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ともにダイヤモンド社)ほか多数。早大院商学研究科博士後期課程満期退学。
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仕事と両立しながら大学院に通い始めた保田隆明が、大学院で学ぶからこそ見えてきた新しい視点で、世の中の「経済・金融ニュース」をわかりやすく解説する。

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