>東証システム障害東証システム障害が起きた当日、40社弱の証券会社経由の株式売買注文が一時執行できないなどの状態となった Photo by Kohei Takeda

約6年ぶりに起きてしまった東京証券取引所のシステム障害。個人投資家にも大きな影響を及ぼしたこの問題は、システム面の不安の火種が広範に潜んでいることを再認識させた。それとともに、日本取引所グループ(JPX)の経営方針にも悪影響を及ぼす可能性が指摘されている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)

 10月9日午前7時半すぎ、東京証券取引所のシステムに障害が発生した。40社弱の証券会社経由の株式売買注文が一時執行できなくなり、市場は混乱に陥った。このシステム障害の背景には、「ある日系システムベンダーの『接続装置』に問題があった」と、証券系システムに詳しい業界関係者は明かす。

 どういうことか。まず今回のシステム障害は、証券各社の発注システムと東証の取引サーバーをつなぐ回線に、メリルリンチ日本証券から「電文」と呼ばれる大量のデータが送られたことが発端だ。

 関係者によれば、メリルは日本市場へ参入したばかりの海外HFT(超高速取引)業者を顧客に抱えていた。この業者はメリルのシステムを通るものの、HFTのプログラム内容のデータが直接的に東証側へと送られる取引形態が取られていた。

 そして、連休明けの9日早朝。なぜかHFT業者によるシステムへのログインがうまくいかず、その際にプログラムミスからか何度も自動ログインを繰り返そうとする動作が発生。通常の1000倍超もの大量のデータが送り込まれる事態を招いた。さらに不覚だったのは、過去のシステム障害と異なり、売買注文と別の業務データが大量に送り付けられたことだ。