アゴを合わせるだけで、相手がべらべらしゃべり出す。その結果、営業マンなら商品が売れに売れて、接客業ならリピーターが続出するという「アゴの魔法」――。
大反響をいただいた前回のインタビューで、まったく売れないダメ営業マンから、たった1ヵ月で全国トップに飛躍した体験を語ってくれた『「聞くだけ」会話術』の著者、松橋良紀氏。その本人から、驚きのスキルを直接伝授してもらえるチャンスである出版記念セミナーは、講義とワークの2部構成。本記事では、4.25に行われたこのセミナーの模様を前後編でお伝えします!
期待と不安が入り混じった参加者を前に、松橋氏が語り始めたのは、スキルのベースとなるNLPの意外な成り立ち「モノマネ」と、「コミュニケーションの鍵となる3要素」だった――。(取材・文:山根洋士)

モノマネの天才、
リチャード・バンドラーが見つけたある共通点

「NLPは、モノマネから生まれたんです」

 モノマネとNLP? 冒頭から、参加者の虚を突くような話題で語りだした松橋氏。会場はしんと静まり返っている(なにせこのセミナーは「会話術」のセミナーなのだから)。

 聞けば、NLPの創設者の1人、リチャード・バンドラーは、友人たちの間でモノマネの天才と言われていたという。とはいえ、モノマネとNLPの間にいったい何の関係があるのだろう。参加者の疑問をよそに、松橋氏は話し続ける……。

モノマネがうまいということは、人のクセを見抜くのがうまかったんですね。そのバンドラーが、アメリカで天才と評されていた3人のセラピスト(ゲシュタルト療法のフリッツ・バールズ、家族療法のバージニア・サティア、催眠療法のミルトン・エリクソン)のカウンセリングを録音したテープを文字にする、つまりテープ起こしのアルバイトをしていました。

 3人のもとに来る相談者は、心の病を患っていて、いつ自殺してもおかしくないくらい深い悩みを抱えている人たちばかり。そういう人たちのメンタルを、この3人は次々に回復させていく。その録音テープを聞いているうちに、人のクセを見抜く天才だったバンドラーは、ある重要な事実に気づきます

 なんと、3人が相談者に対して使っている言葉や、コミュニケーションの方法に、共通する技術があったのです。その技術を体系化して、誰でも使えるようにまとめたのが、NLP(Neuro-Linguistic Programming = 神経言語プログラミング)なのです」

 スキルのベースがモノマネだったとは! こう言われると親しみやすいし、自分にもできそうという気にさせてくれる。

 言われてみれば確かに、「アゴを合わせる」というスキルも、モノマネと言えばモノマネのようなものだ。

言葉、声、ボディーランゲージ。
コミュニケーションにおいて、最も影響力があるのはどれ?

 どうやらNLPは難解なものではなく、モノマネの延長みたいなもののようだ。それを知って、少し肩の力が抜けた参加者たちに、松橋氏から質問が投げかけられた。

「人がコミュニケーションで使っている道具は、3つあります。一つは言葉、二つ目は声の使い方(トーンの高低やテンポ)、三つ目は、ボディーランゲージ。さて、この3つの重要度、つまりコミュニケーションを左右する影響度をパーセンテージで表すと、それぞれ何パーセントくらいだと思いますか? 」