東京都は尖閣諸島を購入する――。米国時間の4月16日、石原慎太郎都知事は、ワシントンでの講演において突然このような発言を行ない、世界を仰天させた。当初は困惑を隠せなかった日本国民だが、4月27日に開設された尖閣諸島購入のための寄付金口座に賛同者が殺到。わずか2週間足らずで4億円近い資金が集まった。しかもそれは、毎日数千万円単位で増加を続ける勢いだという。石原都知事の求心力もさることながら、尖閣問題への日本人の関心の高さがこれほどまでとは驚きだ。巷の人々は、今回の石原氏の行動をどう評価しているのだろうか。そしてなぜ「尖閣購入」に走るのだろうか。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)

5月9日現在で4億円近い寄付金が
石原都知事「尖閣購入計画」のインパクト

 5月9日現在で2万8231件、3億7229万9096円――。これは、東京都が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の購入に向けて4月27日に開設した寄付金口座への入金件数と、入金額である。開設からわずか2週間ほどで、4億円近い寄付金が集まった。希望者は後を絶たず、都が発表する入金額のデータは毎日数千万円ペースで増加している状況だ。

 寄付金口座開設の発端となった「衝撃の一言」が世界中を駆け巡ったのは、米国時間の4月16日のこと。石原慎太郎都知事が、ワシントンでの講演において、突然「東京都は尖閣諸島を購入する」という意向を表明したのだ。

 現在尖閣諸島は、国が所有する大正島を除き、魚釣島などの4島を国が民間人から借り上げている。石原都知事は、その一部を買いとることをすでに土地所有者と基本合意しており、都議会の承認を経て、年内には購入手続きに入りたいという。

 講演では、「本当は国が買い上げたらいいが、外務省はビクビクしている」「どこの国が嫌がろうと、日本人が日本の国土を守るために、島を取得するのに文句がありますか。ないでしょ?」「やることを着実にやっていかないと政治は信頼を失う」などと持論を展開。

 産経新聞 (4月17日付)の報道では、「都の購入予定エリアは、尖閣諸島の魚釣島、北小島、南小島で、価格は『10~15億円になる見込み』(関係者)」とされているが、正確な購入金額はいまだわかっていない。