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加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る

尖閣諸島は、日本国民全員で守るもの

加藤嘉一
【第5回】 2012年5月1日
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「石原発言」の反応

 「尖閣諸島を東京都の予算で買い取る――」

 日本時間の4月17日未明、米国ワシントン市内で行なわれた石原慎太郎・東京都知事の講演での発言が、日中間にある尖閣諸島問題についての議論を沸き上がらせ、中国世論も大いに刺激した。

 日本国内では「石原氏はよく言った」と賛成する声がある一方、「都がやることではない」と反対派の声も上がった。

 中国の世論もすぐさま反応を見せ、私宛に、抗議のメールが殺到した。その数、約500通。一般の中国国民からがもっとも多く、メディアや政府関係者、学者や軍人まで含まれていた。

 「加藤! お前は中国と戦争がしたいのか?!」

 こんな風に感情的に私を攻撃する内容が8割以上であった。だが、日中関係の大局からこの問題に対してどう大人の対処をするべきか、石原氏がこのタイミングで尖閣購入発言をした意図、およびそれに対して日中両政府がとりうる対応などを議論させてほしいという冷静な内容もあった。

尖閣諸島は日本の領土

 私はそうした声に対して、「発言者は加藤嘉一ではない。石原慎太郎さんだ。私を攻撃しても意味がない。感情的になるのはやめよう」と促したが、「うるさい!お前しか日本人を知らないからしょうがないだろ!」という始末であった。まるで議論にならない。しかし、狭隘なナショナリズムに陥っていて、外国との付き合い方に苦心している中国人の国民感情を理解するために有益だと思い、前向きに取り組んだ。

 尖閣諸島問題について具体的に論じる前に、領有権に関する事実関係と、2010年9月に起きた中国漁船衝突事件について整理しておきたい。

 尖閣諸島は歴史的に、一貫して日本の領土である南西諸島の一部を構成している。1895年5月発効の下関条約第2条に基づき、日本が清国から割譲を受けた台湾及び澎湖諸島には含まれていない。従って、サンフランシスコ平和条約第2条に基づき日本が放棄した領土のうちには含まれず、同条約第3条に基づき南西諸島の一部としてアメリカ合衆国の施政下に置かれた。そして、1971年の沖縄返還協定によって日本に施政権が返還されたなかに、尖閣諸島も含まれている。

 中国は、1970年後半に東シナ海大陸棚の石油開発の動きが表面化して、はじめて尖閣諸島の領有権を主張しはじめたに過ぎない。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る

 「だったら、お前がやれ!」
この言葉が意味すること、それは「対案の無い無責任な批判はするな」ということだ。もともと、この言葉は加藤嘉一氏の亡くなった父の口癖だったが、加藤氏は自らの行動規範として常に心に留めている。相手に対して意見するとき、必ず自らに問いかける。
そんな加藤氏が今、憂いているのは、日本社会にあまりにも無責任な批判、意見、論評が多いということだ。本連載では、日本社会に蔓延る無責任な論評を、加藤氏の視点で切り込み、加藤氏なりの対案や考え方を示す。

「加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る」

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