去る5月2日、首都高速道路1号羽田線の橋脚部分が公開された。50年を経過した橋脚には無数のひび割れが発見され、インフラの弱さと怖さが明らかになった。日本では、東京五輪に備えはじめた1960年代初頭からインフラ整備が始まった。そして今あれから50年後を迎えている。このまま何もしなければ、「物理的な崩壊」が日本列島を襲うだろう。老朽化は今そこにある危機なのだ。第1回目ではどこに危機が存在するのかを明らかにする。
物理的な崩壊を招く
老朽化は今そこにある危機
日本では、東京五輪に備えはじめた1960年代初頭からインフラ整備が始まった。そして今あれから50年後を迎えている。
1980年代、米国で大型の橋が落ちる事故が発生した。原因は老朽化だった。50年前の30年代、当時のフランクリン・ルーズベルト大統領は、世界大恐慌により大量に発生した失業者のために、全米でダムや橋を建設し雇用を創出した。いわゆるニューディール政策である。この時期大量の橋が架けられたが、いったん架けられた橋は十分にメンテナンスされることはなかった。そして老朽化した橋は50年後に落ちたのだ。
橋にも学校にも上下水道にも物理的な耐用年数がある。整備当初は最新鋭でも、時間がたてば確実に老朽化する。それでも放置されるといずれは崩壊する。