ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

北区――耐震基準を満たさない「団地の街」で、高齢者が頼みにする若い防災パワー

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長],小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員],一般社団法人東京23区研究所
【第10回】 2011年9月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 災害で大きな被害が出る度に、法制度の改正が後追い的に繰り返される。津波然り、原発事故然り、建物の耐震基準もまた然りだった。

 「だった」と過去形で書いたのは、宮城県沖地震(1978年)の教訓を踏まえ、1981年6月1日に施行された「新耐震基準」が、その後に起きた阪神淡路大震災で大きな効果を発揮したためだ。

 最大震度7という激しい揺れにもかかわらず、1982年以降に建てられた建物は、75%が無被害ないしは軽微な被害で収まった。かたや、1981年以前の建物は約3割が倒壊・大破し、中・小破を加えると3分の2に上ったのである。

あなたの家が着工されたのは
1981年6月1日より前? それとも 後?

 着工が1981年6月1日より前か後か。それは、大地震による建物の安全性を占う一大ベンチマークとなる。旧基準が想定しているのは、震度5強程度まで。新基準は、震度6強~震度7を視野に入れているから、各段の違いがある。

 ところが、北区の住宅のうち44%は1980年以前に建てられたもの。旧基準時代の建物の割合は、23区で一番高い。

 北区に古い建物が多い理由の1つに、団地の存在がある。公的賃貸住宅の比率が江東区に次いで2位の北区は、団地の街だ。もともと大団地は古い建物が多いが、なかでも北区は団地開発の先進地だったため、公的賃貸住宅の9割近くが1980年以前の建築である。

 しかし、そのほぼ全てが民間の建物である木造住宅に限って見ても、1980年以前の建物が過半を占める。北区に古い建物が多いことは、団地だけでは説明がつかない。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長]

一般社団法人東京23区研究所所長。東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。

小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員]

一般社団法人東京23区研究所上席研究員。1978年より財団法人・東京都政調査会研究員、都市問題・自治体政策の研究に従事。87年より中央大学社会科学研究所・客員研究員、多摩地区の地域開発研究に従事。その後、フリーを経て現職。

一般社団法人東京23区研究所

東京23区をさまざまな角度から調査・分析している。マーケティングレポートなどを発行。HPはこちら


東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

東日本大震災を機に、自分が住む地域の安全性を気にする人が急増している。世間一般に「安全」と言われている街でも、そうとは限らない場合があるし、「リスクが高い」と言われていても、本当は災害への耐久力が強い街もある。実際のところ、あなたが住む街の安心・安全度はどうなっているのか。この連載では、地震、犯罪、火事、交通事故といった現代社会の4大災難を中心に、東京23区の「防災力」をあらゆる角度から分析する。豊富なデータを基に、「安心・安全な街」の条件を考えてみよう。

「東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力」

⇒バックナンバー一覧