年金基金など機関投資家の運用計画では、外国債券という資産区分に1割から2割程度の配分があることが多い。しかし、個人の資産運用を考えると、外国株はあってもいいが、外国債券はお勧めしにくい。
お勧めしにくい理由は複数ある。
まず、数10億円単位以上の資産を運用する人を除くと、通常の個人の資産運用では多くの場合、外国債券を市場の条件で買えるほどの運用金額がない。
一単位100万ドルとしても1億円以上だから、分散投資の一部として買うのは難しい。普通に投資される債券がデフォルト(不払い)になることは少ないが、まったくないとはいえない。金額を考えると投資銘柄を分散しにくいのが大きな難点だ。
外国の債券発行者の信用度合いについて、素人が情報集めをして、価格(すなわち利回り)の損得を判断するのは、絶対に無理とはいわないが、かなり難しい。外国株式も事情は似ているが、上場株式の場合、現地のプロも参加して形成された株価と同じ株価で投資に参加できるし、株式の場合は「最悪一銘柄くらい倒産しても大丈夫」といった感覚の分散投資が割合簡単にできる。
また、外国の債券は表面的な利率が高いことが多いが、これは個人の場合、課税を考えると不利な条件だ。
さらに、株式は株価を調べられても、債券の場合は、市場で成立している価格が個人客の立場ではよくわからず、金額が小口になりやすいこともあって、かなり不利な価格で取引させられる場合が少なくない。加えて、為替レートの売買でも値差を稼げるので、対面型の大手証券では、中堅富裕層を相手に、手数料が下がってしまった国内株式よりも、外国債券を使って実質的な手数料稼ぎをする場合が多いとも聞く。