開成・麻布・筑波大駒場・渋谷幕張…。東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないのに有名難関校に続々合格させると話題の塾だ。男女別カリキュラムを取り入れたロジカルで科学的な学習法は、特にエリート父親層から圧倒的な支持を集めている。本連載では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『男の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)の内容から、子どもの計画・理解・反復・習慣のプロセスを体系化した「男の子の特性」に基づく学習法をお伝えしていく。

男の子の「成長の踊り場」は親次第で「伸びしろ」に変えられる

「できる」と実感させて自己肯定感を膨らませる

 男の子の成長には「踊り場」があると私は考えています。一方で、女の子は順調に一段ずつ階段を上っていきます。だから、小学校の前半は圧倒的に女の子のほうが高いところまで上っているのです。

 踊り場でいつまでも足踏みしている男の子に「そんなことしていたらダメだ」と否定的な言葉を投げつけてはいけません。踊り場での一見ムダな時間は、あとで大きな伸びしろとなる可能性があるからです。

 それに、まだ自己肯定感が醸成されていない幼い男の子に否定的な言葉を投げつけると、それだけで彼らは潰れてしまいます。足踏みしているときには、できることしかやらせないようにしましょう。

 1学年下の算数の問題でも、漢字の書き取りでもいいでしょう。どんな子にも、その子なりにできることはあるのでそこに着目し、繰り返しその問題を解かせます。簡単なことをどんどんやらせて「できる」と実感させると、それが「自分はほかのこともできる」という根拠のない自信につながっていきます。

 同じ問題でも、「できる」と思って挑むのと、自信がないまま向かうのでは結果が違ってきます。とくに、受験本番のテストでは、緊張の中、どんな問題が出てくるかわかりません。それを見たとたんに「いつもできているからできる」と思えるようにしておくことは非常に大事です。

 灘や開成といった難関校出身者が東大に合格しやすいのは、勉強ができるからということのほかに、「俺は東大に行けると思う。だって、これまでもクリアできているんだから」というメンタルの要素も大きいはずです。でも、これも根拠などないのです。いろいろ成功体験を積ませ、そこから自己肯定感を膨らませてあげましょう。

 勉強に限らず、鉄棒や跳び箱、縄跳びでもいいでしょう。これまでできなかった逆上がりができた。5段しか飛べなかった跳び箱で8段がクリアできた。そういった成功体験を手にしたときに、「だったら、なんでもできる」という気にさせてあげると、男の子は面白いように伸びます。