ABBの送配電事業の買収を発表する日立の東原敏昭社長。デジタルソリューションを提供して「もっとシェアを増やしたい」と意欲を語るABBの送配電事業の買収を発表する日立の東原敏昭社長。デジタルソリューションを提供して「もっとシェアを増やしたい」と意欲を語る Photo by Hirobumi Senbongi

 世界トップシェアの製品がなかった日立製作所がM&A(企業の合併・買収)でついに「世界一」の事業を手にした。電気を発電所から消費地に届ける送電網を提供する事業をスイスABBから7040億円で買収することで、同事業で首位に躍り出ることになる。

 日立の東原敏昭社長は12月17日の会見で、買収で「うれしいこと」の1番目に「グローバルナンバー1の送配電事業を獲得できること」を挙げ、ABBの配送電事業に4つの世界首位の製品があることを強調した。

 競合の米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスがトップクラスの製品を複数そろえているのに対し、日立は看板商品がなく、世界トップの事業を持つことが悲願だった。

 日立の電力・エネルギー事業は国内の電力会社を最大顧客とするドメスティック事業で、2017年度の海外売上高比率はわずか9%。原子力発電の躓きもあって売上高は4509億円と伸び悩んでいた。

 このドメスティック事業にABBの売上高約1兆1000億円(ほとんどが日本以外)が加わると海外比率9割超の日立最大の「グローバル事業」が生まれる(これまでの海外比率トップはかつてドメスティックだったが海外企業を買収してグローバル化した鉄道事業で同比率は83%)。