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上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

シューカツから事業仕分け、円高対策に原発まで
なぜ日本社会では「やったふり」が横行するのか

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第36回】 2012年5月23日
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 政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で強制起訴された民主党の小沢一郎元代表を無罪とした東京地裁判決について、検察官役の指定弁護士は無罪を不服として、控訴する方針を決定した。前回、小沢氏の無罪判決が、消費増税を巡る政界の対立軸を鮮明にすると論じた。本来、政策志向が近い民主党・自民党双方の中堅「野田世代」が、強大な本当の敵・小沢一郎の存在に気づき手を組めば、「政界再編」の絶好の機会となるからだ(第35回を参照のこと)。

 しかし、控訴で小沢氏が「復権」しないとなると、消費税を巡る対立軸は、結局曖昧なままとなる。「野田世代」は些細な違いを争い、足を引っ張り合い続けることになる。

 政治家は、小沢氏の裁判を政局に利用すべきではない。結局、すべての政治家にとって「自殺行為」になるからだ。検察審査会が政治家を強制起訴する際には、「推定無罪」を徹底すべきだ(前連載第60回を参照のこと)。裁判が結審するまでは、政治家に嫌疑がかけられても、その「政治的・道義的責任」を問うべきではない。

 国会での証人喚問・政治倫理審査会出席も不要である。「疑わしきは強制起訴して、裁判所で白黒つける」となれば、誰でも政治家のあることないことをでっち上げて、簡単に政治生命を奪えることになる。それを防ぐには、せめて結審するまで政治的・道義的責任を問わずに、政治家を守ることだ。政局に有利と小沢氏を叩くことは、結果的に「政治の死」を招き、自らの身にも跳ね返ってくるということを、政治家はよく考えるべきだ。

大学生に蔓延する
「みんな一緒にやったふり」の空気

 本題に入る。「若者の就職難」がますます深刻さを増している(第34回を参照のこと)。私の教え子たちも、シューカツ(就職活動)に大苦戦している。

 「若者の就職難」は、単なる景気悪化の問題ではない。経済のグローバル化に対応した日本企業の海外現地化と、国内での既存正社員の「長期雇用保障の慣習」維持の結果だ。従って、今後劇的に状況が改善することは考え難い。だが、現在シューカツに必死な4回生は別だが、1~3回生を見ていると、私は不思議でならない。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。

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