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対談 竹中平蔵×ビル・エモット

【特別対談】竹中平蔵vsビル・エモット(2)
それでも日はまた昇る―日本再生の処方箋

【第2回】 2009年3月13日
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2006年、小泉政権の最終年に出版されたビル・エモット氏の『日はまた昇る』はその当時、日本経済復活を告げる知日派ジャーナリストの御託宣としてもてはやされた。しかし、本著には実は、労働市場の改革やサービス産業の活性化、政治的リーダーシップの継続など、いくつもの前提条件が示されていた。それから3年。現状で判断すれば、エモット氏の期待は外れ、日はまた昇ることはなかった。日本はどこで道を誤ったのか。今度こそ再生を果たすためには何をなすべきなのか。小泉政権下で構造改革を推進した竹中平蔵・慶応大学教授とエモット氏の特別対談の第二回のテーマは、他ならぬ日本である。

ビル・エモット
「日本はバブル後のスタグネーションに戻ってしまったかのようだ」(ビル・エモット)
Bill Emmott 国際ジャーナリスト 英国エコノミスト誌で、93年から06年まで編集長を務める。日本のバブル崩壊を予測した著書『日はまた沈む ジャパン・パワーの限界』(草思社)がベストセラーに。『日はまた昇る 日本のこれからの15年』(草思社)、『日本の選択』(共著、講談社インターナショナル)など著書多数。

エモット:1989年から1990年に『日はまた沈む』を書いた私が、『日はまた昇る』を日本で出版したのは2006年、小泉政権の最終年のことでした。あきれるほど長い時間がかかりましたが、あのときはようやく、本当にようやく日本にも変化と回復の兆しが見えてきたなと思っていました。ゆっくりだが、着実に改革が進んでいる、と。

 しかし、率直に認めれば、早く書きすぎたようです。その後、多くの面で改革の時計の針は止まってしまった。内需は依然として弱いままであり、日本はバブル後のスタグネーション(停滞)に戻ってしまったかのようです。

 ただ、今回の危機は動きの遅い日本にとっても、さすがに本物のウェークアップコールではないでしょうか。竹中さんは、日本はきちんと対処できると考えていますか。

竹中平蔵
「日本経済のファンダメンタルズは健全だが、パフォーマンスが悪い」(竹中平蔵)
Heizo Takenaka 慶応大学教授・グローバルセキュリティ研究所長 1951年和歌山県和歌山市生まれ。一橋大学経済学部卒。日本開発銀行などを経て慶大教授に就任。2001年小泉内閣で経済財政政策担当大臣。02年金融担当大臣も兼務。04年参議院議員当選。05年総務大臣・郵政民営化担当大臣。

竹中:むろん、簡単ではありません。われわれエコノミストの意見も、正直なところ、割れています。確かに、経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)自体は堅固であり、金融セクターのバランスシートも米国や欧州諸国に比べれば健全です。しかし、あなたがよくご存知のとおり、とにかくパフォーマンスが悪い。

 昨年10-12月期はG7の中で最も大きな負の成長(改定値で年率マイナス12.1%)に沈みました。ちなみに、同時期の米国は速報値でマイナス3.8%成長でした(改定値はマイナス6.2%)。

 では、金融セクターのバランスシートが良いにも関わらず、日本経済のパフォーマンスはなぜ悪いのでしょうか。私は、大きく分けて二つの理由があると思っています。

 ひとつは、改革のモメンタムの低下です。あなたが指摘するように、改革のモメンタムは小泉純一郎氏が首相の座を去った後から衰え続けています。これがなぜ問題なのか。それは、改革のモメンタムはそれまで人々の期待成長率につながっていたからです。

 消費者にせよ、企業にせよ、期待成長率に基づいて行動していますから、それが下がれば、内需や投資は当然落ち込みます。そしてこの間、日本は外需への依存を強めてきたわけですが、米国に端を発する世界経済の悪化そして円高も加わって、輸出主導の経済成長が崩れてしまった。先の四半期の落ち込みの実に9割が、純輸出の減少によるものです。

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世界経済の行方そして日本の針路を、竹中平蔵・慶応大学教授と『日はまた昇る』の著者ビル・エモット氏が縦横無尽に語り合った。その対談の一部始終を三回に分けて掲載する。

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