何もかもを放棄してしまいたい強烈なストレスを感じる環境下で、創造的なソリューションを生み出すよう求められたら、どうすればよいのだろうか。その状態のままでは、素晴らしいアイデアは生まれないだろう。一方で、自分が置かれている環境にちょっとした変化を与えると、それが創造性を発揮できるきっかけになる。本記事では、創造性を発揮する具体的な方法を示す。


 きつね色、どころではない。脳が黒焦げになったような気分だ。

 燃え尽きている。積もりに積もったストレスで、夕食に何がいいかさえ思いつかない。ましてや、革新的なアイデアなどわいてくる気配もない。そんな精神状態なのに、創造的なソリューションを生み出すよう求められている。いったい、どうしたらよいのだろう?

 あなたがもしこのような状況にあるなら、突然すばらしいひらめきが訪れることなど、筆者は約束できない。しかし、筆者にはいくつかアイデアがある。タイムマネジメント(時間管理)のコーチング経験に照らし、最新の脳の働きに関する科学に基づくアイデアで、まっとうで新しい発想が浮かぶ助けになるだろう。

 まずは、何かクリエイティブなことを思いつくよう自分に「強要」することを止めよう。ただでさえストレスを感じているところで、さらに自分を追い詰めてしまうと、ますます闘争・逃走モードに陥ってしまう。そうなると、本能的で最も創造性と縁遠い脳の部位が作動することになる。そこで、「クリエイティブにならなければ」「いますぐアイデアが必要だ」と追い込む代わりに、「さてこの先どうなるかな」「この可能性を探ってみよう」「いくつかのアイデアを試してみよう」などと、自分に言い聞かせるといい。

 心理的な安心感をつくり出すことで、パフォーマンスへのプレッシャーによる消耗が回避できる。

 心理的な安心感をつくり出したところで、「拡散的思考」状態につながる活動を試してみよう。拡散的思考では、脳が自由で柔軟な働きをし、「集中的思考」で見られるような、確立された一定の脳神経回路を用いるのではなく、脳内のあらゆる部位間の連携が促される。ウォーキングや昼寝、食事、その他さまざまな休憩を取ることで、自然と拡散的思考状態に入ることができ、新たな可能性へと心が開いていく。

 この時間のメリットを最大限に活かすために、並行して複数の仕事に取り組むことは避け、何か1つのアイデアを考えるようにするといい。たとえば、こんなふうに考えて脳を刺激してはどうか。このプロモーションを成功させるには何を巻き込むとよいか?顧客へのアプローチを変えたらどうなるか?心を開き、思考の質や量への批判的な判断を避けることで、創造性が羽を広げる余裕が生まれる。

 特に筆者の場合、PCから離れることに加えて、「ハッピーな場所」に身を置いているときに最もクリエイティブになれる。筆者はハッピーな場所として、暖かい季節なら屋外、特に湖のほとりがお気に入りだ。寒い季節には、暖炉のあるカフェだろう。美しく穏やかな環境に身を置くと、気分が上向きになり、創造性の精神的なキャパシティーが増す。

 筆者がコーチングをしている顧客にとってのハッピーでクリエイティブな空間は、歴史ある図書館や美術館だったり、あるいはブティックを見て回ることだったりする。どのような環境が自然と自分に楽しみを与えてくれるかを知り、その空間に身を置いてポジティブな考えが浮かぶようにするといいだろう。