日本電産ショックは「序章」に過ぎない、米中摩擦でリーマン級危機も日本電産は、2018年6月に永守重信氏(写真右)から吉本浩之氏(同左)に社長を交代した矢先、試練に直面している

 中国企業のとある工場。ここに今、日本電産が出荷したモーターの在庫が山積みになっている。顧客の完成品メーカーが生産を停止し、注文はピタリと止まったまま。米中貿易摩擦に端を発し中国国内で需要が急減しているのだ。

 1月17日、日本電産は2019年3月期の業績予想の下方修正を発表した。

 「これまでの長い経営経験でも見たことがないほどの落ち込みだ」

 同日の記者会見で、日本電産の永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は売り上げが急減していることを明かした。

 中国の自動車向けモーター関連の生産は11月と12月に前年同月比30%も下落。中国の白物家電向けのモーターも同30~40%落ち込んだ。とくに家電用モーターは在庫が溜まったままで、新しい受注に繋がらない状態が続いている。