進むキャッシュレス決済Photo:PIXTA

狂騒のキャッシュレス

「狂騒のキャッシュレス」とは、金融業界誌の老舗『週刊金融財政事情』2月4日号の特集タイトルだ。キャッシュレス決済が、まさに「狂騒」と呼びたくなるくらいの競争を伴いながら、急速に普及しつつある。

 街にはQRコード決済に対応する小売店が明らかに増えたし、移動にあっても数種類の決済に対応するタクシーが珍しくない。

 ネット企業、小売業など、金融業以外の母体を持つキャッシュレス決済提供者も含めて多くのプレーヤーが参入して、ポイントを大盤振る舞いするなど、「これで大丈夫なのだろうか」と心配になるくらいに力の入った競争が繰り広げられている。

 消費増税対策としての政府によるポイント還元は、政策の組み合わせとしてはいいとはとても思えないが、キャッシュレス決済自体の普及は進みそうだ。

 キャッシュレス決済が普及すると、金融機関のATM関連費用と小売店舗などにおけるレジ締め、夜間金庫利用などで、年間1兆円を超える現金取り扱い費用のコストが節約できるし、財布から紙幣やコインを出して数えたり、受け取り側がお釣りを計算して渡したりといった、現金を使った際の時間的コストの節約まで考えると、社会全体としての経済効果は莫大なものになる。