「野田・小沢会談」は
プロレスの打ち合わせ

「決められない」と言われて久しい政治の世界が動き出した。野田佳彦首相は、小沢一郎民主党元代表と2度にわたって会談し、さらに、問責決議を受けていた2閣僚の交代を含む内閣改造を行ない、自民党・公明党に法案の修正協議を呼びかけている。

 一方、民主党、自民党とも支持率は上がらず、国民の間では、橋下徹氏が率いる大阪維新の会に期待と注目が集まっている。

 政治プレーヤーたちの行動を解釈し、予測することは難しいが、個々のプレーヤーの「利害」を丁寧に見ていくと、一見複雑に見える状況が案外簡単に整理できる場合がある。

 さて、野田・小沢会談は、「決裂」と報道されているが、筆者にはそうは見えない。

 小沢元代表は(A)「法案には賛成できない」と述べており、「賛成できないとは、反対(票を投ずる)ということだ」とも言っているが、一方で、(B)「党執行部として首相の意向に沿って野党に呼びかけて協議をしようとすること自体は、当たり前のことだ。それはわかっている」とも述べている。また、(C)「離党は考えていない」とも言っている。彼のこれらの言葉をどう解釈すべきか。

小沢氏からすると、(A)は政策論で、(B)は組織論として、共に当たり前のことを述べているという認識だろう。しかし、政策論を貫くなら、消費税率引き上げに向けた協議自体を否定しなければおかしい。

 以下は推測になるが、小沢元代表としては、自分の顔が立てば、消費税率引き上げに向けた動きそのものは黙認するということではないか。