野村ホールディングスの永井浩二社長社長在任期間で田淵節也氏を超えた永井社長。今年度の最終赤字転落が確実視される中、果たして業績を回復させられるか
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「何も変わらないことに驚いた」(野村ホールディングス関係者)

 3月5日、野村ホールディングスは来年度の役員人事を発表した。かねてささやかれていた永井浩二社長をはじめとした首脳陣の交代はなく、大半が続投となった。これにより永井氏は、2020年3月末までは社長となることがほぼ確定。かつて野村證券を利益日本一にした「大田淵」こと田淵節也氏の在任期間(7年2ヵ月)を抜く7年7ヵ月となり、過去40年で最長期間の社長となる。

 今年度の第3四半期決算では、07年に買収した電子取引会社の米インスティネットや、08年に買収した米リーマン・ブラザーズの欧州とアジア事業関連などで約800億円の減損損失を計上し、1000億円超の最終赤字に転落。期中に発表した多額の減損処理に、業界内では「(一気に前倒しで損失処理する)ビッグバス方式で負の遺産を処理し、社長交代を発表するのではないか」(証券関係者)との声も上がっていた。

 しかし今年4月に構造改革計画を発表することや、長期経営ビジョンの最終年度が来年度であることなどから、指名委員会(委員長は古賀信行会長)は永井氏の続投を決めたとみられる。