ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
起業人

スマホ向け独自素材を開発
ニッチなオンリーワンを狙う
共同技研化学社長 濱野尚吉

週刊ダイヤモンド編集部
【第194回】 2012年6月22日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage
Photo by Masato Kato

 「つい先日も韓国の財閥系企業のお偉いさんが訪ねてきた。会社を売ってほしいと言われて、即座に断った」と共同技研化学社長の濱野尚吉は言う。本社は埼玉県所沢市の畑の中にある。小さなプレハブでハイテク企業には見えないが、韓国メーカーの訪問者が絶えない。

 彼らの関心は、同社が開発したスマートフォン(スマホ)やiPadなどのタッチパネルの部材にある。既存のタッチパネルはカバーガラスと液晶の間に、ガラスの破損を防ぐための空気が入っている。それが光の透過性を弱め、屋外でディスプレーが見えにくくなってしまうのだが、共同技研化学が開発した特殊な粘着シート「メークリンゲル」を使えば、衝撃に強くなるため、空気を入れなくて済み、画面が明るくなるのだという。

 画面の大型化にも対応できる上、液晶以外に有機ELへの応用も期待されている。ユニークな発想と将来性が買われ、2006年から3年連続で「日本発明大賞(考案功労賞)」、09年度に文部科学省の「科学技術賞(技術部門)」などを受賞している。量産準備も整ったため、スマホで稼ぎたい韓国メーカーの垂涎の的になった。

自社工場を見せたら取引が打ち切りに
中小企業の壁を実感

 濱野が起業したのは1979年。高校卒業後に上京し、粘着テープメーカーに就職して営業マンになったが、28歳のときに会社が倒産した。「結婚のご祝儀が手元にあった」こともあり、同僚3人で共同技研化学を立ち上げた。

 会社員時代は片面テープを販売していたが、濱野は「これからは付加価値があり、加工しやすい両面テープの時代が来る」と確信した。両面テープの工場に間借りして事務所を置き、住宅や自動車の内装材メーカーや印刷会社などを回って両面テープの注文を取ってきては、その工場で委託生産を行った。マーケットに手応えを感じて、1年後に自社生産に乗り出した。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


起業人

先達の苦難の道のりには、汗と涙に彩られた無数のドラマがある。そして、起業家達の苦闘の中には明日への成功のヒントとノウハウが凝縮されている。

「起業人」

⇒バックナンバー一覧