有効なフィードバックを与えることは容易ではない。指摘の内容が正しくても伝え方がまずければ、素直に聞き入れられないどころか、積極的な反発を招く可能性すらある。フィードバックによって部下や同僚を動かすには、どうすればよいのか。そのための具体的な方法論を示す。


 HBR誌の最近のカバーストーリーによると、同僚へのフィードバックが役に立つことは、めったにないという。建設的な批判は受け手が優れた成果を上げる助けにならず、相手の至らない点に光を当てるとかえって当人の学習を妨げる、と記事は主張している。自分の短所についてあれこれと考えを巡らすのではなく、長所に着目するよう、マネジャーは従業員に促すべきだ、というのである。

 センター・フォー・クリエイティブ・リーダーシップ(CCL)での研究や経験に基づき、筆者らは異なる結論に至った。フィードバックは、ポジティブであれネガティブであれ、ベストな部分をさらに向上させ、最も劣った部分の改善を促すうえで不可欠であり、そうすることでマネジャーが優れたリーダーシップを発揮できるようになる。

 前述のカバーストーリーには、筆者らも賛成するいくつかのアイデアがある。それは、以下の通りだ。

 ●辛辣なフィードバックは、活躍や優れた成果達成への後押しにはならない

 実際、効果的に批判するには、相手への敬意と思いやりを示す必要がある。ネガティブな面ばかりに着目した言葉を頻繁にかけると、相手に防御反応を引き起こす恐れがあり、その結果、物事を正しく認知する能力が損なわれ、モチベーションの低下をもたらす。

 ●学習の促進に、ポジティブなフィードバックは不可欠

 我々は好ましくない点ばかりに注目しがちだが、本人の向上を後押しするには、うまくいっている点にも着目し、その評価を伝えることも同等に重要だ。

 ●相手に問題解決の方法を教えるアプローチは、間違っていることが多い

 内省を促す質問をし、探究と実験を試みるようコーチングすることで、より深い学びを育むことができる。

 しかし、以下の点ついて、筆者らの意見は異なる。