>>(上)より続く

 私は、S家の水道管の故障の話を聞いたとき、ラブホの水道管がよく壊れるという話がよぎりました。コンドームなど流してはいけないものを流すからみたいです。

 Sは奥さんから「私の高校時代の同級生で内装屋さんをやってる○○君」とAを紹介されたらしく、Sは今にも飛び掛かってなぐり倒したいと思ったみたいですが、自分のため、子どものために真実を知らなくてはいけないとこらえたみたいです。

決定的な尻尾を出さない妻と男
裁判に勝てないので秘策を使うことに

 その後、Sが仕事で出掛ける時に奥さんから「今日、Aが水道管の定期チェックで家に来るから」と報告を受けたみたいです。本当に定期点検が必要なのかどうかはわからなかったのですが、Sは我慢できず、ボイスレコーダーをベッドの下に仕掛けました。

 録音時間が足りず世間話しか録音できていなかったのですが、Sは奥さんの浮気の証拠をつかみたい気持ちと、2人に何もないことを願う気持ちで揺れて大変だったそうです。ただ2人きりの方が会話の親密度は増していました。

 私が尾行したところ、Sが試合で出張するたびにお子さんをSの実家に預けて、奥さんとAは食事に行ったりはしていましたが、ラブホテルに行くなど決定的な尻尾は出しませんでした。

 私が見る限り体だけの関係ではなく、奥さんが心をAにもっていかれていると感じました。まるで奥さんとAの方が夫婦の様でした。おそらくSが仕事で月10日ぐらいしか家に帰れず、家に帰っても仕事の研究をしているので、普通の夫婦、恋人の頃のような気持ちになりたかったのかもしれませんね。

 Sがメッセンジャーを見てから3ヵ月、「仕事にも集中できず白黒ハッキリさせたい」と言われたので私は賭けに出ることにしました。「このまま裁判になったら負けてしまうので、奥さんに白状させて親権や資産を放棄するという内容の公正証書を書かせる。その為の構成を考えましょう」

 この作戦は、調査にお金もかけていて、証拠が何も出ないときに使う秘策です。本当ならば時間をかけて確実な証拠が出てくるのを待ち、裁判で勝負に出るのですが、Sと話し合いを重ねた結果、奥さんとのことは白黒ハッキリさせて仕事に集中したいということで決行することにしました。