HOME

メタボリック

肝臓

腰痛・肩こり

高血圧・高脂欠症

うつ・ストレス

ニオイ

薄毛

老化防止

禁煙

男の病気

「引きこもり」するオトナたち

大人しい優等生タイプを社会に出てから苦しめる
“大人の緘黙(かんもく)症”のリアル

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第113回】

 ある特定の場面では何も話せなくなる「場面緘黙(かんもく)症」という症状については、以前も当連載で取り上げた(第108回参照)。

 「引きこもり」の背景にある状態の1つとされながら、原因が精神疾患や脳機能障害では説明のつかない「緘黙症」。なかには、特定の場面だけでなく、家族を含めて、すべての場面において話すことができない「全緘黙症」になる人もいる。

 最近わかってきたのは、そんな状態が長く続くことによって、社会的制約を受け続ける「大人の緘黙症」の存在だ。

幼稚園の女性教諭に怒られ
自信喪失、緘黙症に

 かつて大手メーカーに勤めていた30歳代のAさんは、幼稚園生のときから緘黙症に苦しんできたという。

 Aさんの場合、幼稚園に入園するまでは「活発な子どもだった」らしい。

 「担任の女性教諭に怒られた記憶があるんですね。いま思えば、ブチ切れたような怒り方。自分としてはショッキングで、それまでの自信とかプライドが、すべて粉々になった瞬間でした」

 緘黙症になる人は、そのきっかけを覚えていることが少ない。気づくと、周囲の人間関係にうまくなじめなくて、不安が強くなっているのだ。

 Aさんは、何かで教諭に怒られたことによって、自信が崩壊。その直後から、自己表現ができなくなって、自分を出すことがなくなったという。

 合唱の時間のときは、いつもバレないように歌うふりをして、周りに気を遣った。

 小学校に入学してからも、国語の音読ができなかった。国語の時間、先生に当てられて、どう切り抜けたのかは、よく思い出せないという。

 ただ、運動は、マットも鉄棒も得意だった。そのことは、自信につながった。

 「遠足のとき、1人ぼっちで、お弁当を食べていたら、担任の先生が一緒に食べてくれました。その先生と信頼関係ができたことで、少し症状が改善して、国語の時間もしゃべれるようになったんです」

1 2 3 4 5 >>
関連記事
このページの上へ

池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

⇒バックナンバー一覧