ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道

ウェブでのオリンピック観戦からわかる日米メディアの比較

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第38回】 2008年8月25日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 「オリンピックはインターネットで見たい」──2001年に刊行した『正確に間違う人、漠然と正しい人』(ダイヤモンド社)の中で、そう述べた(13「五輪、テレビ、そしてインターネット」)。

 これにはいくつかの理由がある。最大の理由は、私の見たい種目が、普通の人とかなりずれていることだ。私は陸上競技のトラック種目(だけ)を見たいのだが、これはテレビでは必ずしも十分には見られない(中距離や長距離は、必ずしも全部を放映してくれない)。また、放送していても、時間によって見られないことがある。今回の北京オリンピックは、競技場と日本の時差があまりないので助かるが、そうであっても、ちょうど放映時間に用事があって見られないことが多い。録画すればよいだろうと言われるかもしれないが、目的の競技の放映時間が正確にいつになるかを予測できない。それに、いちいち録画の設定をするのは面倒だ。このようなわがままな要求に応えてくれるのは、ウェブサイトで配信される動画のはずである。

 アテネオリンピックのときに比べても、動画のウェブ配信は格段と進歩した。北京オリンピックは、私の昔からの希望に応えてくれるのではないだろうか?

MSNBCのサイトは
きわめて充実している。だが……

 では、どのサイトで見ればよいだろう? 私が調べた限り、オリンピックに関するウェブサイトで群を抜いて充実しているのは、MSNBCオリンピック特集ページである。

 非常にうまく設計されているので、見たい競技をすぐに探し当てることができる。

 ビデオも、きわめて多数のものが提供されている。「Highlights」というセクションだけでも、8月20日の段階で949のビデオがある。「NBC Encore」というセクションには、155のビデオがある。これだけでもすでに1000を超えている。大会が終了すれば、この何倍かの数のビデオが蓄積されることになるだろう。しかも、競技種目ごとに、国名や選手名で検索できるようになっている。

 そこで、必要なソフトをダウンロードし、期待に胸を膨らませて開いてみた。ところが、何と「ビデオを見られるのはアメリカ合衆国内だけに限定されています」というアナウンスが流れて、ビデオそのものは見られないのだ!

 看板だけ眺めさせられて、「入場はお断り」と言われたようなもので、残念至極だ。オリンピックの放映権は国ごとに買っているためこのような結果になるらしいが、視聴者の側から見れば、奇妙な制約だ。

 そこで、やむをえず、静止画のセクションで我慢することにしよう。このサイトには、きわめて良質の写真が多数ある。男子100mだけに限っても、41枚もの写真があるのだ。だから、ビデオの代用にはならないにしても、かなり楽しめる。少なくとも、新聞で1枚の写真を見ているよりは、ずっとよい(写真の質も、新聞に比べれば、格段とよい)。

 なお、NBCには、NBC Nightly News with Brian Williamsというサイトがあり、ここにも「Beijing Olympics」というセクションがある。このサイトのビデオは、国境の制約なしに見ることができる。競技記録のビデオではないのだが、「中国体操女子チームは年齢を偽っているのではないか」などという議論がされていたりして、大変面白い。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR


おすすめの本
おすすめの本
野口悠紀雄氏の最新刊「円安バブル崩壊」好評発売中!

急激な円高と止まらぬ株価下落。日本経済はいまや深刻な危機に。「サブプライムショック」はあくまでも引き金に過ぎない。根本的な原因は、あり得ない円安・低金利政策にある。経済政策の無能を厳しく指弾する痛快経済エッセイ! 1680円(税込)

話題の記事

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

------------最新経済データがすぐわかる!------------
『野口悠紀雄 使える!「経済データ」への道』


野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道

本当に使える情報源を求めて、野口教授が広大なインターネット・ワールドを駆けめぐる。各種情報源の特徴から使い勝手まで、辛口コメントを交えて大公開!

「野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道」

⇒バックナンバー一覧