7月1日、民主党に所属していた小沢一郎元代表ら50人の衆参両院議員が離党し、来週にも新党結成の構えを見せている。
これで野田佳彦政権は、一段と財務省政権の色合いを強めることになった。
“小沢切り”の成功で、内閣支持率は一時的に持ち直すかも知れないが、早晩内閣の性格が明らかになると、支持率はより急激に低落することは目に見えている。
そもそも、最近の内閣支持率の相当部分は自民党支持者に支えられていることを見落としてはならない。野田内閣を支持する自民党支持者は、大半が選挙になれば自民党に帰っていく人たちだ。なぜなら、公約に違反して消費税増税に走る野田民主党よりも、一貫してそれを公約してきた谷垣自民党のほうが格段に信頼できるからである。
そうなると、消費税増税に賛成する人も反対する人も双方ともに民主党支持に二の足を踏むことになろう。
多極化する民主党にとって
自民党と“小沢新党”さえ脅威
小沢グループの離党後、消費税増税への対応によって民主党内はいくつかに多極化している。
①野田首相をはじめ財務省と一体となって主導した少数の人、②それに同調した人、③様子を見て賛成した中間派、④反対から賛成に転じた人、⑤反対、棄権・欠席して党内にとどまる人、いずれも厳しい世論の評価を受けるに違いない。
そうかと言って、“小沢新党”が躍進する可能性も低い。
(1)もしも党首を小沢氏が務めることになれば、いかにも清新さに欠けることは否めない。ここは、小沢氏が、一歩も二歩も引くべきところだが、そうはなりそうもない。
(2)「増税反対」と「脱原発」の主張が正しくても、残念ながら政争の方便と受け取る人が少なくない。心強いと思う人がいる反面、ありがた迷惑と思う人も意外に多い。
(3)マニフェストを堅持すると言っても、いわゆる“バラマキ政策”まで引き継いだらかなわない。バラマキをして、増税もしない政党と見られれば、支持する人も限られる。
ただ、小沢新党は総選挙では民主党にとって大きな脅威となることだけは間違いない。