施工不良問題が発覚した賃貸大手のレオパレス21など、不動産管理会社がアパートなどの住宅を一括で借り上げ、それを転貸する「サブリース」をめぐるトラブルが相次いでいる。人生100年時代を見越し、老後資金の不安から不動産投資に走った賃貸オーナーがトラブルに巻き込まれたり、大損を被ったりしている背景には何があるのか。業界のウラを知り尽くした一般社団法人安心R住宅推進協議会・代表理事の三津川真紀さんが、サブリース事業を展開する不動産管理会社の儲けのカラクリを暴きながら、一般消費者が騙されないためのポイントを語った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 林 恭子)
「サブリース」が抱える
4つの問題点とは?
――老後資金への不安から不動産投資を始める中高年層が増えています。その中でも、多数のオーナーがトラブルに巻き込まれているのが「サブリース」です。どのような「儲けのカラクリ」がトラブルの要因なのでしょうか。
一般社団法人安心R住宅推進協議会 代表理事
東京大学大学院教育学研究科、国立研究開発法人科学技術振興機構などを経て、2004年に実父がセンチュリー21・ジャパン代表取締役に就任したことを機に不動産業界へ転職。 2005年に株式会社船井総合研究所に入社。 以降、総合不動産ビジネス領域の経営コンサルティングに従事している。
通常であれば契約しないような内容にもかかわらず、営業をかけられたオーナーの多くがトラブルに巻き込まれるのは、不動産業界と一般消費者の「情報の非対称性」が背景にあるから。不動産業界の儲けのカラクリをご存じでないからこそ、トラブルに巻き込まれたり、大損を被ったりするケースが相次いでいるのだと思います。
そんなサブリースには、大きく4つの問題があると私は考えています。
まず、初期の賃料設定が高いことです。これによって、将来、賃料が大幅減額になる可能性があります。
次に、必ず「空室の免責」が設定されていることです。入居者が退去してから新たな入居者が入るまでのその間、2ヵ月間は空室の免責になり、賃料収入がなくなります。
3つ目として、月々のメンテナンス費用と大型工事費用がかかり、工事費用が割高であること。
そして、4つ目が、住宅メーカーの高利率の借り入れを利用することになり、金利の支払いが大きな負担になることが挙げられます。