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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

世界企業番付でも中国が躍進
が、中身ではいまだ日本に及ばず

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第112回】 2012年7月12日
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脳裏に焼き付く
ハイアールCEOの寂しい笑顔

 今から十数年前、今や中国の最大の家電メーカー・ハイアールを訪れた私は、CEOの張瑞敏氏を取材した。当時、ハイアールがアメリカに進出した直後なので、中国メディアはハイアールを高く持ち上げていた。しかし、インタビューに応じた張氏は、至って冷静だった。日本では、私が最初にハイアールを取り上げたこともあり、張氏は自らの考えを包み隠さずに打ち明けてくれた。

 「中国メディアは、アメリカに進出した私たちのことを高く評価してくれているが、私は全然嬉しくは思っていない。むしろ、プレッシャーを感じている。世界では、私たちはまだ弱小なので、私たち1社では、とても中国企業という旗を掲げられない」。

 さらに、つぎのようにしみじみと日本企業の存在を語った。

 「日本企業を見てください。私たちは日本企業という言葉を口にしたとき、松下電器(現パナソニック)、ソニー、東芝、日立など多くの企業の社名が浮かび上がる。たとえて言うなら、日本企業というのは、多くの星からなる銀河なのだ。その中のどの星も、他人がまねできない輝きを放っている。しかし、世界に出た私たちは、孤独だ。ハイアール1社だけでの海外進出は栄光ではなく、孤独そのものだ。いつか、中国企業も日本企業に負けない銀河のような存在になって、その中に、自分なりの輝きを放つ星のひとつとして、私たちハイアールが存在するというような日を迎えることができたら、私は手放して笑う」。

 寂しそうな笑みを浮かべながら、とつとつと語る張氏の横顔を見つめながら、私も思わず大きく頷いた。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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