運転再開を待つ人で混雑するJR川口駅リモートワーク推進など、対症療法でこの病が治るとは思えない Photo:JIJI

台風15号が改めて浮き彫りにした、日本人サラリーマンの「社畜体質」。そこまでして出社する必要もないのに、駅に向かう長蛇の列に並び、地獄絵図と化した満員電車に揺られて会社へ向かう人々の姿が大きく報道された。これはリモートワークを推進すれば治るというほど簡単ではなく、日本人が70年以上も抱える「不治の病」である。(ノンフィクションライター 窪田順生)

台風15号があぶり出した
日本人の「社畜体質」

 このままいけば、「karoshi」(過労死)に続いて、「shachiku」(社畜)が世界に知れ渡る日も近いのではないか。

 台風15号で運休していた鉄道各社が運転再開をした途端、会社へ出勤しようとした人々が押し寄せて凄まじい長さの行列ができ、殺人的な満員電車となるなど阿鼻叫喚の地獄絵図となってしまった騒動のことだ。

 中でも注目を集めたのが、ネットで「社畜の参勤交代」などと揶揄された千葉の津田沼駅だ。入場規制された駅を取り囲むようにできた長蛇の列の写真はSNSで拡散され、情報番組などマスコミでも大きく取り上げられたのだ。

 もちろん、広い世の中なので、この日に会社に行かなければ億単位の商談がパアになるとか、自分がいないと何百人というお客さんに迷惑がかかるという人もいたことだろう。

 しかし一方で、あの大混乱の中で、いつもの何倍の時間と労力をかけてまで出社しなくていいという人も山ほどいた。実際、SNSにも、「会社から“気をつけて出社するように”と言われたので嫌だけど休めない」とか「会社に電話したら“来ていないのは君だけだよ”なんて嫌味を言われた」という“ぼやきツイート”も散見され、「同調圧力」に逆らえない「社畜」の姿が浮かび上がっている。

 来年、オリンピックで海外メディアが集う中で、同様の騒動が起きれば、「日本の社畜に世界がドン引き!」なんて感じで、既に国際社会で問題視されている「karoshi」(過労死)とともに、日本のブラックイメージとして世界に広まってしまう恐れもある。