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安東泰志の真・金融立国論

米国経済を鍛え上げたERISA法(後編)
根底にあるのは加入者を守り
米国の生産と成長能力に投資する精神

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第23回】 2012年7月13日
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 前回は米国エリサ法(ERISA・従業員退職所得保障法)の成り立ちとその国家戦略的意味を俯瞰したが、今回はそれをさらに深堀りし、日本がなぜ年金運用を国家戦略にしなければならないのかを論じる。

 AIJ問題を受けて、昨今、各党・省庁で企業年金制度の見直しの議論が進んでいるが、表層的・場当たり的な制度改正以前に、日本再興のために、年金資産運用のあり方をもっと大きな国家戦略の域にまで高め、政策の最優先課題にすることこそ、今求められているのである。

 まずは、一般読者には若干専門的すぎるかもしれないが、エリサ法の目的と構成を再確認し、その上で米国の実例を基に、日本が進むべき道を論じることにしたい。各党・省庁での議論の参考にして戴ければ幸いである。

エリサ法の目的と構成
はどうなっているか

(1)目的と構成

 エリサ法は、従業員給付制度の加入者と受給権者の利益を保護するために制定され、4つの章から構成される。

 第I章で、最低加入基準、受給権付与、及び同法がカバーする年金制度の積立基準を規定し、さらには制度を管理する者に対する受認者行為基準を定めている(受認とは“fiducially”の法律的に正確な和訳であり、「受任」と大きな違いはない)。

 第II章は、具体的には税法で法文化されているが、課税上優遇される年金制度の適格性に関する内国歳入法の規定―特にエリサ法第Ⅰ章の基準を順守しているかどうかの規定―を行っている。

 第III章では連邦諸庁の強制力の統一を図る規定が置かれ、第IV章では年金給付公社(PBGC)の設立を定め、給付全額の支払に十分なファンドがない年金制度の終了において、給付を毀損から守るための保険プログラムが定められている。(判例:Raymond B. Yates, M.D., P. C. Profit sharing plan. v. Hendon Trustee〈U.S. Supreme Court March 2, 2004 からの引用〉)

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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