一方、異業界への転職事例の中で躍進しているのが、09年から18年の間で10ポイント増加したインターネット業界だ。次点で注目が集まっているのは、コンサルティング業界にIT通信業界、そして人材・教育業界。この三つは、銀行業界からの転職先としてもトップ3の人気を誇る。

 証券マンが金融離れした理由の一つが、将来性への懸念だ。エン・ジャパンの人材紹介サービスであるエン エージェントの相川真里和・人材紹介事業部マネージャーは、「金融商品を対面で購入するよりも、ネット証券を利用する人が増えている。対面販売という機能がいつまであるか、不安を感じる人が多い」と指摘する。

 異業界に移った証券マンは、「営業経験で培ったタフさ」(同)という汎用性が高いスキルを生かして活躍するケースが多いという。また最近では、特定のポジションにおけるニーズも高まっているようだ。

 「異業界でキャリアアップを図りたい証券会社の投資銀行出身者が、総合商社に行くほか、スタートアップ企業のCFO(最高財務責任者)になるケースが多い。特に、わずか4~5年の間にIPO(新規株式公開)するスタートアップが増加しており、そのトレンドに乗りたい人が増えている」

 こう述べるのは、金融領域に特化した人材紹介サービスを行う、KANAEアソシエイツの阪部哲也社長だ。他にも、証券会社でクオンツを担う理系人材が、データサイエンティストに転身する事例が出てきたという。