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スマートフォンの理想と現実

メール内容を読み取るインタレストマッチ広告が物議
老朽化した「通信の秘密」は聖域なき再考が必要か

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【号外】 2012年7月13日
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Yahoo!JAPANが8月に始める新たな広告配信は、国の「通信の秘密」の在り方に一石を投じた。この問題は情報通信産業全体に影響を及ぼしかねない。今回は「スマートフォンの理想と現実」の番外編として、クロサカタツヤ氏が「通信の秘密」の歴史的経緯を紐解き、その本質と現代的意義について考察する。

 Yahoo!JAPANが提供を目指している「インタレストマッチ広告」が物議を醸しているが、その伏線の意味もあり、まずはご高覧いただいている連載「スマートフォンの理想と現実」について、一点訂正をさせていただきたい。

 昨年11月2日に掲載した『未解決の初歩的課題、稚拙な対応――「カレログ」をきっかけに露呈したスマホのプライバシー問題』という記事の中で、Googleが提供するフリーメールサービスのGmailについて、以下のように記述した。

 「それでも、今日こうしたビジネスの第一人者となったGoogleやAmazonは、様々な失敗を繰り返しながら、確実に歩みを進めてきた。それこそ、Gmailの内容に広告をマッチングさせる仕組みも、サーバ側ではなくクライアント側で実現するなど、法制度はもちろん消費者の心理も踏まえ、細心の注意を払って、ここまで到達してきている。」

 しかしこれは、実態と異なっていたようだ。現在は、Gmailもサーバーサイドでメールの内容を読み取り、広告表示を行っているようだとの指摘を、複数のエンジニアからいただいた。そしてこれは、少なくとも2011年春時点の運営方針の改定(優先トレイのシグナルを使ったパーソナライズ)以降は、ほぼ確実に行われているらしい。

「サーバの所在地」の議論は枝葉末節

 もともとはAdSense(Googleの検索連動型広告・キーワード広告サービス)が以前はこうしたブラウザ側でマッチングする仕組みを採用していた(らしい)ということ、そしてGmailもそれに準じた技術を採用していた(らしい)ということ、それゆえに通信の秘密の観点から「セーフ」だとされていた(らしい)という、すべてそれまでの私の理解をもとに、書いたものだった。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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