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スマートフォンの理想と現実

未解決の初歩的課題、稚拙な対応――「カレログ」をきっかけに露呈したスマホのプライバシー問題

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第10回】 2011年11月2日
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 「あなたがスマートフォンをどう使っているか、全部お見通しですよ」

 街中でこんな言葉を耳元でささやかれたら、ほとんどの人は「気持ち悪い」と感じるだろう。しかしこのところ、スマートフォン界隈は、そんな話題でもちきりである。

きっかけは
「カレログ」騒動

 きっかけとなったのは「カレログ」だ。社会問題としてマスメディアで広く採り上げられたこともあり、ご記憶の方も多いだろう。公式サイトに当初掲載されていた説明によれば、「彼氏のスマートフォンにインストールしておけば、彼氏の現在のGPS位置情報を常にチェックすることが可能」というサービスで、居場所だけでなく「電源が切れちゃったから連絡できなかった」と言い訳されないように「バッテリー残量もわかる」という。

 また有料会員に対しては「彼氏の携帯電話の通話記録まで、リアルタイムに入手可能」することが可能となり、またカレログを妨害するツールを検知するためか「インストールしたアプリも丸わかり」という徹底ぶりだった。平たく言えば、「パートナーが浮気していないか、スマートフォンの利用履歴を、相手に知られずこっそり監視しましょう」というものである。

 さすがにこれは拙かった。相手(=端末利用者)に無断でインストールし、データを収集するという部分が、不正指令電磁的記録供用罪に抵触する可能性が、また無断で追尾(=対象の移動状況をトレースする)することが、民法の不法行為として認定される可能性が、それぞれ指摘されたのだ。

 なにしろカレログは、セキュリティ大手のマカフィーから、マルウェア(不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウェア)との認定を受けてしまった。民間事業者ゆえ法的拘束力はないが、同法がマルウェアの摘発を目的に制定された経緯を踏まえると、事実上の違法認定と言っても過言ではなかろう。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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