グーグルが3月1日にプライバシーポリシーを変更しましたが、この問題の深刻さとそれへの欧米の政府の対応の素早さを踏まえると、日本人のプライバシー意識の低さと日本政府の対応の緩さが改めて目につきます。これで日本は本当に大丈夫でしょうか。
グーグルの
プライバシーポリシーの変更
これまでグーグルは、例えばあるユーザの検索エンジン上での行動履歴(どういう検索ワードを入力したかなど)は、グーグルが提供する他のサービス上でのそのユーザの行動履歴(Gmail上で何を書いたか、YouTubeでどういう動画を見たかなど)とは別個に管理されていました。
すなわち、これまでグーグルはサービス毎に独立で、そこでのユーザの行動履歴という個人情報に基づいて最適な広告を出すことで、ネット広告収入を増大させてきたのです。
ところが、3月1日からグーグルのアカウントを持っているユーザを対象に、グーグルの提供する約60のサービス全体を横断して、そこでのユーザの行動履歴を統合的に管理する形にプライバシーポリシーを変更しました。
例えば、バスケが好きな私がグーグルの検索でNBAとかNew York Knicksといったバスケ関連の情報を探していると、YouTubeでは何をしていなくてもバスケ関連の動画がお勧めで出てきたり、Gmail上でもバスケ関連の広告が出てくる、といった感じになるのです。
それでは、グーグルはなぜこのような形にプライバシーポリシーを変更したのでしょうか。グーグルは、ユーザの個人情報の管理を統一的かつシンプルにするため(“streamline and simplify the privacy practice”)と言っていますが、これは明らかに表面上の建前に過ぎません。
その本音は間違いなくフェイスブックへの対抗でしょう。フェイスブックもグーグルと同じようにネット広告収入を最大の収入源としています。しかし、両者の最大の違いは、グーグルがこれまではサービス毎にユーザの興味や関心だけを行動履歴という形で集めて広告収入に変えていたのに対し、フェイスブックは、ユーザがあらゆる情報を共有するのがいいんだという価値観を強調することで、ユーザが興味や関心を超えたプライバシーに属する情報(プライベートな写真や今日何をしたかというリアルの行動など)までも集積して、それを広告収入に変えようとしているのです。