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上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

小沢氏ら「反増税派」と民自公「増税派」対決の行方
理解のカギは三党合意の“政局より政策”

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第40回】 2012年7月18日
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 小沢一郎元民主党代表ら民主党離党者49人が新党「国民の生活が第一」を結党した。自民党、公明党は解散総選挙を求めて圧力を強めており、野田佳彦内閣の政権運営は厳しさを増しているようにみえる。

三党合意による
圧倒的多数派形成の凄さ

 だが、野田首相は「民主・自民・公明による消費増税のコンセンサス形成」により、国会での圧倒的な多数派形成に成功した。「消費増税関連法案」の衆院での賛成票は、衆院定数480議席中、約76%を占める363票だった。法案が参議院で否決されても衆院で再可決できる、3分の2の議席数をはるかに上回った。

 また、参院では定数242議席に対して、民主・自民・公明など82%の199議席が増税賛成だ。過半数121議席を割るには、民主党から更に79人の造反者が出なければならない。この多数派形成は、1942年に「大政翼賛会」が獲得した議席が81.8%(381議席)だったことと比較すると、その凄さがわかる。

小沢グループの離党で
三党は「真の敵」をはっきりと認識した

 それでも小沢新党の動向が注目されるのは、民主党分裂によって、衆院での内閣不信任案可決、参院での問責決議案可決の可能性が高まったからだろう。だが、それはあくまで「三党合意が破れたら」という前提付きの可能性でしかない。

 小沢氏の新党結成は、三党合意決裂の可能性を低くした。消費増税を巡る対立軸が鮮明になったからだ(第35回を参照のこと)。三党は、これまで些細な違いを争い、足を引っ張り合ってきた。だが、剛腕・小沢という消費増税実現の「本当の敵」の登場によって、自民・公明は野田内閣の足を引っ張っている場合ではなくなった。本当の敵を利して、消費増税そのものを潰しては元も子もないからだ。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。

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