セブン&アイHD井坂隆一社長最高益でも見通しは明るくないセブン&アイ・HDの井阪隆一社長 Photo by Satoru Okada

過去最高益を更新しながら、これほど苦渋に満ちた決算発表があっただろうか。コンビニ業界の王者セブンーイレブン・ジャパンを擁するセブン&アイ・ホールディングスの2020年2月期中間決算。コンビニ加盟店支援のため100億円を負担してロイヤルティーを下げる方針を示した。イトーヨーカ堂とそごう・西武でも大胆なリストラ策を示したが、社内の抵抗が予想される。(ダイヤモンド編集部 岡田悟)

コンビニ加盟店支援で100億円の負担
過去最高益も稼ぎ頭に逆風

 24時間営業をめぐる加盟店との対立、独自キャッシュレスサービス「セブンペイ」の失敗……。

 日本最大のコンビニエンスストアチェーンであるセブン-イレブンを中心に栄華を誇ってきたセブン&アイ・ホールディングス(HD)が、逆風に見舞われ続けている。

 とはいえ10月10日に発表した2020年2月期中間決算は減収増益を達成。営業利益と純利益は過去最高だった。

 国内コンビニ事業を手掛けるセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)は、客足が伸びず既存店売上高が前年を下回るなどしたため、加盟店からのロイヤルティー収入に当たる営業総収入は微増。ただし、広告宣伝費など販管費の伸びを抑えることで営業利益を確保した。米国でのコンビニ事業も増収増益だった。

 ただ稼ぎ頭のSEJに、来期以降の減益要因が発表された。国内では、加盟店の負担を軽減すべきとの世論が盛り上がり、経済産業省が改善を求める事態となっている。そこでSEJは、加盟店が本部に支払うロイヤルティーの減額という一手を打ち出した。24時間営業をしていて売り上げが低く、ロイヤルティーの原資となる1ヵ月当たりの粗利益が550万円以下の加盟店を対象に、ロイヤルティーを月20万円減額するという。対象となるのは全国で7000店程度。適用開始は2020年3月からで、本部の負担は通年で100億円増加する見通しだ。

 このコスト増を受け、約1000店の不採算店舗の閉鎖や移転に年内に着手。これにより22年2月期にはコストが50億円削減できるほか、新店の用地取得に当たってきた社員の削減や会計処理のペーパーレス化などで補うとしている。