わが国やドイツ、フランスの今年4-6月期のGDPがプラスに転じたり、米国のサブプライムローン問題の元凶である住宅価格に下げ止まりの兆候が出ているここともあり、景気回復に対する期待が世界的に盛り上がっている。

 その一方、景気回復の持続性について心配もある。主な懸念材料は2つだ。

 1つは、現在の景気回復は、各国政府の積極的な財政政策によって支えられていることだ。つまり、経済は自力で回復過程に復帰しているわけではないのである。

 足元の世界経済の状況を見ると、昨年9月に発生したリーマンショック直後の最悪の状況を脱したことは、間違いない。ただし、景気回復を主導しているのは主要国の財政政策であり、政府の需要注入策に支えられて、景気が何とか上向きに転じたということだ。

 つまり、まだ世界経済は自分の力で立ち直るほどのエネルギーを回復していないということになる。

 もう1つの懸念材料は、景気対策の継続性の問題だ。わが国や米国、さらには欧州諸国の財政状況はすでにかなり悪化しており、現在のような大盤振る舞いを長期間続けることは難しい。

 景気対策の出口をどこかで考えなければならないのだが、そのタイミングの測り方は、口で言うほど容易ではない。問題は、そのタイミングを誤ると、景気の足腰を折ってしまうことも考えられることだ。

 特に、最近「戦後初」となる本格的な政権交代が起きたわが国は、この不安が大きい。経験の浅い民主党政権が、マニフェストなどの内容に固執するあまり、政策転換の間合いを間違えようものなら、景気動向に致命的な痛手を与えることにもなりかねないからだ。

 その場合には、懸念される“景気の二番底到来”も現実味を帯びてくる。そのリスクは、頭のどこかに入れておいたほうがよいだろう。

 では、巷でまことしやかに囁かれているように、民主党政権下で日本の景気は本当に暗転してしまうのか? 詳しく検証してみよう。