円相場の参院選勝敗別「5つのシナリオ」、円高・円安になりやすい選挙結果は?Photo:AFP=JIJI

足元で軟調な円相場
金利上昇は円高につながらず

 足元では、日銀の利上げ先送り期待に加え、原油価格上昇・日本の貿易赤字拡大懸念が円相場の重しとなっている。

 一方、日本の長期金利は、景気・インフレ対策としての消費税減税などの財政出動圧力が少数与党政権下で高まりやすく、米金利への連れ高もあって上昇圧力がかかった。

 6月の金融政策決定会合で26年4月以降の国債買い入れ減額幅の縮小が決まり、財務省が超長期国債の発行額を削減する方針を示したことから日本の金利上昇は一服した。しかし金利水準は高止まりしており、日銀の利上げ先送り期待による金利低下圧力は殆ど機能していない。日本の金利上昇は、利上げ期待ではなく財政悪化懸念や需給悪化が主因であるため、円高要因となっていない。

6月の都議選では自公が議席減
7月の参院選の結果が拍車をかけるか

 政局も日本の金利上昇に少なからず影響を及ぼしている。

 24年の衆院選で連立与党が過半数割れとなり、野党の協力なしには予算その他重要法案を成立させることができず、野党からの歳出拡大要求が実現し、財政が悪化しやすくなっている。

 こうした状況に拍車をかけかねないのが、7月20日投開票の参院選だ。主食であるコメ価格を中心とした高インフレなどにより内閣支持率が低迷する中、連立与党は参議院でも過半数議席を割り込むとの指摘が多い。

 今回の参院選では定数248議席のうち半数124議席の改選と欠員補充1議席の合計125議席が争われる。このうち連立与党の非改選議席は75議席(自民党62議席、公明党13議席)であることから、7月の参院選での獲得議席が50を下回ると、連立与党の議席は過半数割れとなる。

 6月22日投開票の東京都議選では定数127全議席が改選され、地域政党である都民ファースト党が第1党に返り咲いた一方、国政与党の自民党と公明党が議席数を減らした。東京都議選は一地方議会選に過ぎない面もあるが、最大都市かつ首都であり、参院選の1カ月程度前に実施されるためここでの党勢は参院選にも反映されやすいとの見方もある。