ニッサンの業績を確認する

 新車の代表として日産自動車(以下、ニッサン)、そして中古車の代表としてガリバーインターナショナル(以下、ガリバー)の業績を確認してみる。次の〔図表 1〕は、本連載で再三利用しているタカダ式操業度分析をニッサンに適用したものだ。

 上記の図表で描かれている黒色の曲線は、四半期移動の実際売上高を表わしている。下方にある緑色の曲線(損益操業度売上高)は、黒色の実際売上高がこれを下回ると赤字に転落する分水嶺を表わす。CVP分析(損益分岐点分析&限界利益分析)の損益分岐点売上高に似た概念だ。

 ただし、CVP分析は、1次関数を利用した単利計算構造である点に注意して欲しい。昨日稼いだキャッシュを今日へ再投資せず、また、今日稼いだキャッシュを明日へ再投資しない。その日に稼いだキャッシュの全額を、金庫に死蔵する、と仮定するのがCVP分析だ。定期預金の単利計算を想定してみて欲しい。

 ところが、実際の企業活動は、そのような構造になっていない。昨日稼いだキャッシュは元利合計で今日へ再投資され、今日稼いだキャッシュもまた元利合計で明日へ再投資される。これは複利計算構造を表わす。その発想に基づいてグラフ化したものが、〔図表 1〕のタカダ式操業度分析である。次の〔図表 2〕で、両者の違いをまとめておく。

 企業活動は複利計算構造を内蔵する、と見立てた場合、黒字と赤字の分水嶺は、緑色の損益操業度売上高以外にもう一つ現われる。それが橙色で示した曲線(収益上限点売上高)になる。この収益上限点売上高と損益操業度売上高の間に、黒色の実際売上高が推移する場合、企業は黒字を確保することができる。この領域を〔図表 1〕では「収益ゾーン」と表示している。

 青色の曲線(予算操業度売上高)は企業の量産効果を最も発揮する売上高であり、赤色の曲線(最大操業度売上高)は経済学でいう利潤最大化条件(限界収入=限界費用)を満たす売上高である。

 黒色の実際売上高以外はすべて、企業活動を「日々複利の連鎖」または「日々複利的な成長」とみなすことによって導かれる。導出方法については、拙著『会計&ファイナンスのための数学入門』を参照していただきたい。

 以上の知識に基づいて〔図表 1〕を見ると、08年9月期のリーマン・ショック以降、ニッサンの波形は大きく乱れたが、2010年後半以降は安定してきているのがわかる。