核家族化が進む今日、子育てに悩むお母さんが急増している。
特に苦労するのが「男の子」。お母さんにとって女の子は、かつて自分が通ってきた道で理解しやすい面があるが、男の子の場合、未経験のことが多く、男の子の突飛な行動に日々悩むことが多いという。
このたび、『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』を刊行し、自らも2人の息子さんを育てた「脳科学おばあちゃん」久保田カヨ子氏(80)に、男の子を育てるにはどうすればいいのか、そのコツを伝授していただく3回連載企画。
最終回は、これからの時代のキーワード「生き抜く力をどう身につけるか」を語ってもらった。

男並みの帝王学を学んだ私

久保田カヨ子(くぼた・かよこ)
1932年、大阪生まれ。脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた独自の久保田式育児法〈クボタメソッド〉を確立。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。 著書に、『カヨ子ばあちゃん73の言葉』(ダイヤモンド社)など。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。全国からの講演依頼もあとをたたない。

  私は、4人姉妹の長女として生まれました。
  そのため、姉妹のリーダーとしてはもとより、商家の跡取りとして、男並みの特別な教育を受けて育ちました。

  そう、昔は男の子に対しては、特別な教育を施したものです。
  それは、男の子だからこそ、というものでした。

  たとえば、外でけんかをして、泣かされて帰ってきようものなら、昔の親はこう言ったものです。
「それで泣かされたまま帰ってきたのか! いまからもう一度、相手のところに行って、泣かせてこい!」

  野蛮だと思いますか?
  でも、それでいいのです。

  前回、前々回でも書きましたが、男の子はどうしても甘えがちになりますから、厳しく育てる(接する)ことも、時には必要なのです。

  特に3~4歳くらいまでは、子どもとの触れ合いを大切にして、たっぷりと手をかけてやれば、やがては親に甘えない自立した子どもになるのです。

  また、男の子は、女の子と脳のつくりが異なります。
  だからといって、男女差別をするというわけではありません。
  もともと別の生き物だという前提で、接する必要があるのです。
  そうすれば、男の子の育て方がわからないという理由で悩むこともなくなります。

  男の子と女の子の違いは、いろいろなところに見られます。
  たとえば、女の子は人前に出ると、一人前に愛想を振りまこうとします。
  自然に、自分をよく見せようという意識が根づいているのでしょう。
  砂場でおもちゃ遊びをしていて、他の子が「貸して」と言ってきたとき、女の子はすぐに聞き分けます。

  もし、どうしても貸したくないというときには、「人に貸したくないのなら、自分も借りてはいけないよ」と言えば、大概、言うことを聞いてくれます。

  でも、男の子は違います。人前で愛想を振りまくようなことは、まずしませんし、砂場ではオモチャの取り合いをします。

  皆で仲よくするようなことはせず、基本的に誰ともつるみません。
  それが男の子です。