いよいよ夏真っ盛りですね。旅行や花火、帰省……と、バケーションの計画でそわそわしている方も多いのでは? そこで今回は“夏休み特集”にしてみたいと思います。筆者がこの夏オススメする映画や展覧会、イベントなどの関連記事を“デジタル・クリエイティブ”のアングルからピックアップします。

『おおかみこどもの雨と雪』の
世界観はCGの賜物

INTERVIEW『おおかみこどもの雨と雪』の細田守監督: 「アニメがもつ記号性を、一度解体する必要があった」(WIRED.jp) 

 まずは映画『おおかみこどもの雨と雪』(7月21日公開)の関連記事から。各種メディアにも取り上げられ、すでにかなり話題というか、大ヒットの予感さえあるアニメ作品ですが、劇場で鑑賞したところ前評判を裏切らない(それ以上の)すばらしさでした。

   当連載は映画評ではないのでストーリーや見所の解説は控えますが、これまで出会ったことがない“映画体験”ができたというのが私の率直な感想でした。その感動をテクノロジーがバックアップしていることは言うまでもありません。

 つまり、CGが“効果的”に使用されています。しかし、いわゆる映像派手化のためのCGではなく、予算と手間を削減するためのデジタル活用でもなく、この物語の世界観を表現するために「それが最適であったから」という必然性を感じました。

 ピックアップした細田守監督へのインタビュー記事では、デジタル表現に対する演出家の考え方も語られています。「本来技術は作品の一部として消化され、観客に味わってもらうべきものですから」というコメントに大事なポイントが濃縮されています。クリエイティブ産業の関係者にとっては示唆に富む記事でした。