マイベストプロでは、予想を上回った結果を出しています。何故なら、後藤さんが自分自身の紹介ページやプロフィール、コラムの中で、はっきりと「目黒の若手経営者のサポート」と打ち出しているからです。後藤さんもこう話します。「自分が取材された紹介記事によって、パーソナルブランドをはっきりと伝えることができました」(後藤さん)。

 自分のビジネスモデルとなる強みに特化したコラム発信によってアクセス数も増えました。後藤さんがマイベストプロに掲載されてちょうど2年経ちますが、その間に2社の企業と新たに取引が始まりました。

「けっして悪い数字ではありません。マイベストプロを見たという飲食店2店と顧問契約をしたので十分に投資価値はありました」と後藤さんはいいます。

 さらに、2店とも開業から携わり、そこに大きなやりがいを感じた後藤さんは、これをきっかけに地域の飲食店開業をひとつの得意分野としてとらえることにしました。

「今は目黒には飲食店、デザイン事務所、動物病院の若手経営者が多いという感触を得ています。今後はそこもアピールしていきたいですね」と後藤さんはいいます。目黒区では動物病院が混雑しており、大半のドクターは診療に追われて経営管理がおろそかになっているのが実情で、税理士事務所に頼りきりだそうです。後藤さんにとっていずれも興味のある業種に得意分野を絞ることができ、外に向けては得意分野をきわめて具体的に提示できるという一石二鳥の成果でした。

 また古くからの住宅地だった目黒には相続問題を抱えている住民が多いのも特徴です。実際、コラムに取り上げる話題も財産管理、相続、贈与がらみのものがたくさん見られます。こうして後藤さんの検索キーワードは「目黒、若手、相続」の3本柱になりました。コラムには常にこうしたキーワードを埋め込む工夫をしているそうです。

貢献はヴァーチャルとリアルの両面で

 後藤さんは若手起業家や事業承継した二代目経営者の相談に親身になって耳を傾けます。顧客には若い起業家も多く、経営者の孤独を背負い切れない人もいるのでしょう。大学で専攻したマネジメントの知識や、自らの学生時代の起業経験、税理士になって継承したたくさんの企業事例を踏まえて助言するといいます。そんな自分を「おせっかいなんです」といいつつも信頼の確かな手ごたえ、すなわち貢献の成果を感じているようです。

 ウェブサイトを広報メディアにしている場合、コラム連載は重要な役割を果たします。後藤さんも、情報を探す人の立場になって読者の悩みを想定し、実際にあった話をもとにしつつも内容には細心の留意をしてコラムを書いているといいます。無償で情報を提供しているわけですが、顧客の中にも愛読者はいます。将来の顧客もいるでしょう。顧客との信頼関係は時間をかけて築いていくものだと思います。

 後藤さんはコラム執筆を続けながら、今後は若手経営者の集まりや、飲食店のファンづくりなどを仕掛けて、地域コミュニティに参加していきたいといいます。これもまた長い目でみたら「貢献」につながっていくことでしょう。