いよいよロンドンオリンピックが始まった。大震災後初めての五輪を迎える日本に、明るい話題を提供してくれることを期待したいものだ。しかし、北京大会やアテネ大会と比較すると、「経済波及効果はいまいち」と指摘する声が少なくない。一方で、これまでになかった新しい需要に期待する声もある。ロンドン五輪は日本経済の起爆剤となるのか、そうではないのか。五輪商戦を戦うビジネスマンにとっても、気になるところだ。過去の大会と比較しつつ、「五輪効果」を分析してみよう。(取材・文/岡 徳之、協力/プレスラボ)

いまいち印象が薄いまま
ついに始まったロンドン五輪

 いよいよロンドンオリンピック(以下、五輪)が始まった。8月12日までの16日間開催され、世界205ヵ国・地域から約1万6000人の選手が参加する。

 ロンドンで五輪が開催されるのは、1908年に開かれた第5回大会、1948年に開かれた第14回大会に次いで、今回で3回目。今大会は、夏季五輪としては初めて全参加国・地域から女性選手が出場する大会として、注目を集めている。サウジアラビア、カタール、ブルネイから初めて女性が出場、カタールは射撃の女性選手が開会式の旗手を務める。

 五輪、W杯、WBCなど、国際的なスポーツイベントの開催時期が近づくと、とかく報道されるのが「経済波及効果」に関するニュース。とりわけ、五輪は世界最大の商業イベントでもあるため、莫大な経済効果が予想され、シンクタンクなども独自の試算を発表している。欧州危機の影響で世界経済の先行きに不透明感が募るなか、4年に一度のビッグイベントに寄せられる期待は大きい。五輪商戦を戦うビジネスマンにとっても、気になるところだ。

 これから16日間、華やかな競技を思い切り満喫する前に、ここではその「経済波及効果」について考えてみたい。

 今回のロンドン五輪、正直なところ、「もう開幕?」と“いつの間にか始まっていた感”を拭えないのは、筆者だけだろうか。筆者の印象に唯一残っている開幕前の五輪関連ニュースは、「深刻な警備員不足」くらいだ。

 五輪の警備を請け負っていた世界最大の英民間警備会社「G4S」が、採用や訓練の混乱により、開幕が1週間後に迫ったタイミングで警備員を4200人しか配置できていないことが発覚したのだ。英国政府が急遽、アフガニスタン帰還兵を含む3500人の兵士の投入を決めるという、ドタバタ騒ぎだった。