ロンドン五輪が開幕した。開会式に先駆けて始まった男女サッカーはともに勝利。とくに男子は優勝候補のスペインから金星をあげ、日本は最高のスタートを切ったと思われた。

 ところが、金メダルを獲って日本選手団に勢いをつけてくれるはずだった柔道女子軽量級の福見友子、中村美里がよもやの敗戦。男子の平岡拓晃は銀メダル、海老沼匡は銅メダルを獲得したものの金には届かず、いい流れが生まれたとはいえない。3連覇の期待がかかった競泳平泳ぎの北島康介も100mでは5位に終わった。

 その一方でウエイトリフティングの三宅宏実が3度目の五輪で悲願のメダル(銀)を獲得。また、男子400m個人メドレーでは17歳の高校3年生・萩野公介が銅メダルを獲った。それも怪物マイケル・フェルプスを破ってのメダル獲得だから快挙だ。予選ギリギリで出場権を得たアーチェリー女子団体が銅メダルを獲得するうれしいサプライズもあり(1点を争う息詰まる攻防と的に集中している選手の表情は見ごたえがあった)、日本としては良いのか悪いのか分からない微妙な序盤戦である。

 充分な実績があるうえ強力なライバルとの代表争いなど多くの困難を乗り越え、満を持して出場してもメダルに届かない福見や中村のような選手もいる。かと思えば、怖いもの知らずの若さを武器に勢いでメダルを手にする萩野のような選手もいる。世界の強者を相手にメダルを獲るのは大変なことには変わりはないが、五輪には五輪ならではの不思議な勝負の綾がついてまわることを改めて知らされた。

 ところで五輪報道でよく見られるのが、選手の出身地での応援風景だ。取り上げられるのは好成績が期待できる選手に対するものだが、目立たないマイナー競技の選手たちにも同様の応援が行われているに違いない。家族はもとより選手と地縁で結ばれた人たちは熱い声援を送らずにはいられないのだ。

 日本は今大会で五輪出場100年目を迎える。

 日本が初めて五輪に参加したのは1912年の第5回ストックホルム(スウェーデン)大会。陸上短距離の三島弥彦とマラソンの金栗四三のふたりが出場した。それからちょうど100年たつのだ。