佐賀県庁前で。佐賀県教育委員会事務局教育DX推進グループの見浦浩徳推進監
佐賀県は産学金官(※)が共同で枠組みを作り、高校生対象のDI人材・起業家育成プログラムを始動させた。この最先端の学び支援に、サードウェーブの高性能パソコンが一役買っている。
幕末の佐賀藩には精煉方(せいれんかた)と呼ばれる理化学研究所があり、科学技術の発展に大きな功績を残した。精煉方は、佐賀県が産学金官で取り組む高校生向け人材育成プログラム「DI(デジタルイノベーション)SCHOOL SEIRENKATA」として現代によみがえった。
同プログラムを主催する県教育委員会事務局教育DX推進グループの見浦浩徳推進監は、SEIRENKATAという名称には、「高校生たちが最先端デジタル技術と日本をデザインした佐賀の歴史的人物を知る地元学を学び、DI人材や起業家として未来を創ってほしいという思いを込めました」と説明する。
このプログラムでは、デジタルに興味を持つ県内19校から約100人の高校1年生たちが、放課後や休日に7カ所の拠点に部活のように集まり自発的に学ぶ。3年間のカリキュラムが用意され、企業などから派遣される伴走コーチにサポートを求めることができるが、授業のように受け身ではなく、生徒たちが自主的に考え知識を吸収していく。
なぜ高校生が対象なのかという問いに、見浦推進監はこう答える。
「大学ではデータサイエンスやAIなどの学科が続々と創設されています。高校でも『情報』の教科がありますが、実践的な学びは提供できていません。このギャップを埋めるためには、高校生が実践的な最先端デジタル技術を学ぶ場が必要なのです」
そこで同プロジェクトでは、半導体回路設計、プログラミング、データサイエンス・AIの最先端のデジタル技術に加え、佐賀の先人をケースメソッドとして学んで、起業家マインドや先を見て創造力を身に付けるプログラムを用意したのだ。
プログラムの成立条件だった高性能パソコン
佐賀県では同プログラムを絶対に発足させようと考えていた。そのような中、パソコン(PC)メーカーのサードウェーブより、企業版ふるさと納税を活用して70台の高性能ゲーミングPCの物納があったことが追い風となった。ゲーミングPCの用途はゲームに限らない。大学などの教育機関や企業、クリエーターなどの高度な処理能力を必要とする場面でも使われている。
「カリキュラムでは、まず半導体を学びます。デジタル技術は半導体の上に成り立っているからです。そこで実際に半導体回路を設計し、Unreal Engineを使ってプログラミングを体験したり、データサイエンス・AIを学んだりします。これら最先端のデジタル技術を学ぶためには高性能PCを調達することが必須だったのです」
見浦推進監には夢がある。同プロジェクトで半導体回路設計に興味を持ち、才能を開花させた人材が佐賀県で起業すれば、多数ある県内の半導体関連企業と連携し、設計から製造までの流れができる。すると、佐賀県がもっと元気になり、地方創生にも大いに貢献することになる。
2024年5月、サードウェーブに対し佐賀県の甲斐直美教育長が感謝状を贈った。佐賀のこのケースは、企業版ふるさと納税の新しい可能性を示している。
※産学金官:産業界、学界、金融界、官公庁
株式会社サードウェーブ
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